何回か弦のことについて書きましたが、
最後にもう少し具体的なことを書いてみたいと思います。
今自分がメイン楽器に張っているのは、
G ピラストロ オイドクサ(標準ゲージ)リジット
D ピラストロ オイドクサ(標準ゲージ)リジット
A ピラストロ コルダ(標準ゲージ)
E ゴールドブラカット 0.25
です。
昨年秋まではA線もオイドクサの標準ゲージでした。
でも、A線をプレーンガットに変えたことで、
よりできるようになったことがあります。
・軽い弓でもしっかり音が出せるようになった。
張力が強い弦は、跳ね返す力も強く、またその反発の速度も速いので、
ある程度指でかける重さや弓の張りの強さでねじ伏せていたんだと思います。
いまや人差し指主体で弦をで引っ掛けるが必要ありません。
・左手の指が楽になった。
パッケージから出して触るだけでわかるのですが、
やわからさが全然違います。
強く抑え込まなくても、”必要な音のテンション”に合わせて
弦を締める感覚で済むようになりました。
・左手の指を立て気味にして弾けるようになった。
左手の指に大きな力が必要なくなるということは、
ポジション移動では
指を弦に載せたまま移動する時に指の第1関節の角度がずれない、
指の忙しない置き替えの時は、
指を弦から離しやすくなる、ということです。
・音の最後の処理に気を揉まなくなった。
本番中特にそうですが、フレーズの終わりの音、
曲の最後の音の余韻というのはとても気を遣うものです。
細かく実験していないのですが、
やっぱりナイロンの弦とは振動の仕方が異なるようです。
幅なのか方向なのか、細かいことは自分には分かりません。
ただ、振動の収まり方は自然由来のものが自然に感じるというところです。
※動画の最初がガット弦のG線、2つ目がナイロン弦のG線です。
・ニュアンス、イントネーションの拘りがより綿密になった。
前回も少し書きましたが、小さな会場でナイロン弦でppを出すのは、
とてもむずかしいことです。もちろんガット弦でも技術は必要ですが、
技術があればできます。
小さな音は小さな声と同じことで、いろんなニュアンス、
細やかなイントネーションが実現できます。
実現できるとわかると、
とことんこだわっていこうという気になるものです。
大きな音の範囲で実現できる質感の違い、種類というのは
小さな音の範囲で実現できる豊富な質感の差に比べると
残念ながらかなり少ない気がしました。
と、大雑把に書いてみましたが、
使う場所によることは忘れてはいけないと思います。
昨年1回ありました。
湿気ている、カーテンや布が多い、換気している…など
響かない要素が多い会場では少ししんどいです。
絶対的な大音量を捨てた分、
相対的に大きな音を出すために小さな音を求めるわけですが、
それを聴き手に届けるにはやはり響きが必要です。