児童館の0歳時サークルや子ども園の子育て支援のコンサートでよく尋ねられます。
楽器に向き不向きはありますか?楽器の習い事(稽古事)はどう選ぶんですか?、何歳から始めますか?才能は関係ありますか?
さて、才能とは何でしょうか?
「ヴァイオリンの才能」は存在しない、と僕は考えています。
強いていえば、新しい知識に興味が湧き続けるとか、
辛抱つよく同じ事を細かく仕上げる執着があるとか、
複数の意見を自分のなかに持つことができるとか、
そういった性分や気質が、ヴァイオリンに上手く出たときに ヴァイオリンの才能 とかと呼ぶんだと思います。
昔、てんてんくんという才能の種(サイダネ)を巡るマンガがありましたね…あれはなかなか愉快です…脱線。
例えば、ある、とても高名なヴァイオリニストは、子供の頃から牛乳瓶の底みたいなメガネをかけていて外で遊ぶのが好きじゃなかった。
なので、教わった1小節を数時間も飽きずに弾いていた、と聞いたことがあります。
こうなってくると、仮にあったとしても、才能よりインスピレーションのほうが大切ではないでしょうか。ポルコ・ロッソもフィオにそう語りましたし。
向き不向きってなんだろう?タイミングは?
「3歳から始めないとヴァイオリンは遅い」とおっしゃる先生も世の中にはいるんですが…嘘をついちゃあいけない。
世界有数のオーケストラのコンサートマスターたちの話をきくと、7歳から、10歳から、という方もザラにいます。しかも皆さん現役で、その人の演奏の魅力が他の団員の気持ちを巻き込んで、全員を一音懸命、1フレーズ懸命にさせてしまいます。
幼児教育でよく語られることですが「環境による教育」、言い換えると、教えるのではなく、導くということができたら音楽のレッスンも成功だと思います。楽器との出会いや始めるきっかけも環境ではないでしょうか。
僕にとってのスター、ミルシュタインはワンパクすぎて、いじめっこで「ヴァイオリンをしましょう」と母親から突然命じられたそうです。
ただ、イヤイヤ始めてもその後、彼に音楽の素晴らしさを気づかせたのは「環境」ですね。
ここで、親御さんの思慮深さやレスナーの力量が問われるんですね。その環境に関わるすべての人が日々研鑽です。
親戚の和尚によると、たとえば「お線香のかおりが好き」というのは仏縁がある、ということだそうです。
その型を使うと、音色は当たり前ですが、例えばヴァイオリンの匂い(においがあるんです)が好きとか、あの容姿が気になるとか、そういうのが、ヴァイオリンの縁かなと思います。
お釈迦様も説明できず、ついにそういう巡り合わせを カルマ(縁)と定義しちゃったという…そりゃもう僕なんかには、説明出来ないでしょう(笑)
僕は祖父の形見のヴァイオリンを見たときに綺麗だなぁ、と思い、素直に「これ欲しい」と言い、程なく分数ヴァイオリンが届きました。
カルマがあれば、どんなものにも興味がわくし、始めたいと口にする はず。