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Cafetalk Tutor's Column

Yuka-t 講師のコラム

刺さったフレーズと私と③

2024年5月30日 | 3 コメント

”父さんが夢見た社会は、みんなに仕事があり、誰もが働いた代価で食べて、着て、子どもに教育を受けさせることができ、隣人どうし愛情を持ってつき合いながら暮らせる世界だった。”
ー『こびとが打ち上げた小さなボール』 チョ・セヒ著 斎藤真理子訳 河出文庫 より

この小説は著者が1975年から短編の連作小説として発表し、78年に書籍として刊行したのものです。
1970年代ソウルの急速な都市開発をめぐり虐げられた人たちの怒りの物語で、実に40年以上も
売れている大ロングセラー作品です。決して読み易い本ではありませんが、日本でも是非多くの人に
読まれるといいなと思います。


このコラム、とてもお久しぶりになってしまいました。
実は理由がありまして、それは作家が一編で完成品としている作品の
一部だけを抜き出して紹介してもよいのだろうかとふと疑問に思ったからです(実は真面目なのです)。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
ご存知、福沢諭吉の『学問のすゝめ』の一節ですが
本当は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。と書かれてあって、
これはつまりフランス人権宣言の引用で福沢諭吉のオリジナルではないのだと大学のときに
日本文学の先生に教わりました。そして実はここではなくその先に福沢諭吉が説きたいことが書かれてあるので、気になる方はぜひ『学問のすゝめ』をお読みになってください。

一部が独り歩きする怖さは、SNSでも気を付けたいところです。
先日、韓国語を教えるインスタグラムの投稿でこう言ってました。
「韓国語は受け身がありません」

いえ、あります。

ありますよ。
韓国語でも受け身はありますし、使います。

ただ日本語ほどは使わないね、という話。
きっとアップした人がそれを知らなかったわけではないと思います。
短いメッセージは印象に残りやすいので短くしているのだと思いますが、
誤解を招くような切り取り方は、あってはいけません。

ということで、
私も皆さんにご紹介するときには全体の内容を踏まえたうえで、
私がいいなと思ったことは引用させてもらって、自分がどう感じたかをプラスして
一意見としてご紹介できたらな、と思うに至りました。

最後にもう一つご紹介。

”ホモ・サピエンスが世界を征服できたのは、何よりもその比類なき言語のおかげではなかろうか。”
『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 河出文庫 より

言葉も本来はきっと、みんなが仲良く暮らすためのもの。
大切に学んで、大切に使っていきたいなと思います。

・・・今日は真面目なコラムでした。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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