今やカフェも充実し、パン屋も豊富な韓国ですが、99年韓国は
そうではありませんでした。パティシエ志望だった私が感じた99年韓国のスイーツ事情を
書いておこうと思います。
当時の韓国はケーキ専門店はほとんどなく、パン屋の端でケーキを売っていました。
생크림(生クリーム)ケーキが出始めのころでしたが、
でもまだ生クリームではなく、ほとんどが植物性のホイップクリームでした
(もちろん牛さん100%の生クリームも後に登場します)。
そして春・夏のデコレーションケーキの上には堂々とプチトマトが載っていた。
パッピンス(かき氷)にもプチトマトが載っていた時代(プチトマト=フルーツだった)。
そしてイチゴ味のかき氷も、アイスもあんこもトマトも混ぜ混ぜ、
きれいにまぜまぜして食べる。キレイにトッピングしてある華やかなかき氷を、なぜあんなに混ぜて1つの味にしてしまうのか。
ビビンバをこれでもか!と言わんばかりに混ぜる、あの文化ですね。
カレーライスもまぜまぜして食べる、あのまぜまぜ文化は、食を”目でも楽しむ”日本の感覚とは
違っていて、当初は戸惑ったものです。
さて、スイーツにもどって、
韓国ではカステラやパウンドケーキの類もパンと呼んでいました。
パン屋の片隅でケーキを売っていたので、ケーキ屋さんは当然パン屋さん。
そのパン屋さんでパウンドケーキを買ったときのこと。
フルーツケーキと思しきものを買ったら、トロピカルフルーツの缶詰を入れたらしく
ナタデココまで入っていてた。なんて斬新!
ドライじゃなくて水分たっぷりの缶詰フルーツを使うとは!!
パンの中で好きだったのはもはや”国民のパン”と言ってもいいんじゃないかと思う”そぼろパン”。
クッキーのクランブル生地がのってるパンなんです。
メロンパンほどパンがクッキーできれいに覆われていなくて、
まさにそぼろ状態だからそぼろパン。パン屋さんは勿論、コンビニでも売っていました。
大田の町ではまだ”トースト”も売ってなくて、道で買えたのは、たい焼きや호떡(ホトク)でした。
私はこの호떡(ホトク)が大好きで、バス待ちの時間によく買って食べました。ああ、懐かしい。
大田近くの天安(チョナン)は호두과자(くるみ饅頭)という、小豆餡とクルミ入りの焼き饅頭が有名で、
高速バスに乗ったときにはサービスエリアでこの호두과자(くるみ饅頭)を買うのが楽しみでした。
焼きたてのもみじ饅頭にクルミを入れたような味。
そして韓国スイーツといえば떡!お餅!もち米で作った餅も、うるち米(普通のコメ)で作った
団子も韓国では떡です。豆が入っていたり、よもぎが入っていたり、ナツメや
栗が入っていたり・・・。もち米かうるち米か、中に具が包まれているか
そとにトッピングされているか、生地に練り込んでいるか、選びたい放題の
韓国餅のバラエティは本当に素晴らしい。お餅屋さんを見るだけでも本当に楽しかった。
伝統茶も楽しみの一つでした。
だいたい皆が嫌がる수정과(スジョングァ)は肉桂水に松の実と干し柿を浮かべた冷たい飲み物。
好き嫌いがはっきりしますが、私は好きでした。シナモン大好き。
シッケは比較的飲みやすい、お米で作った甘い飲み物です。甘茶ほど控えめな甘さではなく、
冷やし飴に近い味。こちらは缶入りの飲料もあります。
今はトゥンカロンや餅ケーキ、バタークリームのフラワーケーキなど、
スイーツも流行の先を行く韓国ですが、、、新しい物も生み出しつつ、
あの頃の懐かしいものも、これからもずっと残っていてほしいものです。