ヴァイオリンの解説の中で、手の動きについて反復運動という言葉を耳にすることがあります。
なるほど!と思う人も多いと思います。
しかし、反復運動を言葉で説明できる人がどれくらいいるでしょうか?視覚的に振り子のイメージを持ったりする人もいるでしょうか?
端的にいうと、同じ動作を一定時間繰り返す、という説明が多いと思います。
例えばということで、今回はヴィヴラートを取りあげます。
動画のAとBを、聴き比べて、見比べて何に気づきますか?
Aはいわゆる手首のヴィヴラートを誤解、曲解したものです。
このスピードが速くなると「ちりめんヴィヴラート」なるものができてしまうのですが、再現できませんでした。
(念の為補足すると、「ちりめんヴィヴラート」はコントロールできていないタイプのヴィヴラートなので悪習です)
Aはイメージ先行で、手首でシェイクする動きをしており、メインの音程から↑↓両方に振れています。
指の屈伸を手首の反復運動でしていて、指先の感覚よりも手首の感覚でやっています。
手首をなかば自動的に動かし、手首のコントロールが効かないため、指の角度が制御できていません。
これが気持ち悪さの原因です。
Bはスタンダードな腕のヴィヴラートです。
指先と指のお腹で弦に触れる感覚をもとにしており、制御できています。
Bは、元となる音程より↑には振れていません。
また、実際の歌声と同じように、幅も速さも一弓の中で変化があります。
コントロールしている、ということです。
ヴィヴラートは、指の第1関節の屈伸を作り出す動きなので、確かに繰り返す動作ですが、厳密には全く同じではありません。
また、手首のヴィヴラートも、体のどこの感覚を元にするかによって制御が可能です。
ヴィヴラートに限らず、運弓についても反復運動と説明を受けることは多くありますが、「反復運動」についてそれぞれの人が持つ理解、イメージが曖昧なために気をつけたい部分です。