ヴァイオリンの初歩の教材では、開放弦の四分音符から始まり、段々と音価による弓の配分などの都合を学んだり、スラー、スタッカートなどの導入に進んでいきます。
そういったものの中にある「アクセント」。
はじめに「アクセントはこうだ!」と信じて、アクセントが単一化されがちです。
とりあえず、強くはっきり、歯切れ良く!
アクセントについて習うと、こう考えがちではないでしょうか?
アクセントをどう処理するか、アクセントを音に具現化する技術とは?
当たり前のようですが、アクセントとはなんぞや、を最初に考えたいです。
そもそもアクセントとは??
言語にもアクセントがあるように、音楽にもアクセントがあります。
身近な単語でアクセントを変えてみてください。
意味が変わったりしますし、なんでそんなに怒ったように言うの?というやりとりの問題が起こります。
景色ではどうでしょうか?
例えば、白いお部屋、白い家具の中に赤いカーテンがある。
このとき、その部屋の中でのアクセントはカーテンですね。
日々の洋服でも、さし色とか、あると思います。
モノトーンコーデだとどっちがどっちかわからないこともありますが…
次に、ではなぜアクセントがあるのか。
真っ白なお部屋に真っ白なカーテン...それはそれで無難ですが、変化ない景色です。
振り切れた弛緩か、振り切れた緊張、ただの無、のいずれかでしょう。
アクセントは時代、作曲家、曲の中の場面場面で様々な用いられ方をします。
擬似的に拍節をズラすためだったり、流れの中で音のベクトルを変えるためだったり、すべてを挙げることはできません。覚えておきたい補足事項としては、トリルはアクセントの役割を持ち、ヴィヴラートのご先祖様でもあるということです。
同じ記号だから、表現の手段が同じとは言えません。
紙を切る時に、ハサミを使うのか、カッターを使うのか、手で切るのか、物差しでやるのか…似たようなことだと思います。
多くの人が陥りがちなのは、強拍、主音、あるいはスラーの原則をなおざりにして、それら以外の箇所についたアクセントに目が行きがちなことです。
印刷されたインクの中でどの情報が優先されるのか、この作曲家のこの作品のココのアクセントはどう言うものか、をイメージしてから方法論がついてくると考えています。