中学高校の頃、男女、クラスを問わず柔道が必修でした。
最初の授業で教わったのが「受身」です。
なぜかというと、怪我をしないためです。
そのまま受け止めると怪我や痛みになってしまうエネルギーを上手に逃す、発散するようなことです。
これが、本当に不思議なもので、達人の受身は「パーンッ」と清々しい音が鳴ります。
ヴァイオリンで楽器を鳴らせない、響かない、ノイズがすると言う場合、
エネルギーのコントロールに問題があります。(楽器のセッティングや調整の問題は省きます)
楽器の重み、弓の重み、指の重み、腕の重み、頭の重み…
いろんな重みを「受身」で感じることが大事だと思います。
もしも、受身ではなく、力ずくで挟む、押さえる、押し付ける、などの動作をすれば
振動が感じられない=コントロール以前の問題になりますし、身体にも痛みが出てきます。
ほとんどのことは、日常生活で感じることができる物理の原則と同じことです。
・弓の重みのバランスの変化(弓のどこが弦に載っているか)が右手の指でわかる。
・左鎖骨に楽器が載った重みがわかる。
・左手に楽器のネックが載った重みがわかる。
・弓が弦に載った重みが左手でわかる。
・右腕の重みが弓と弦を通して左手でわかる。
・ダウンの時に摩擦で楽器が右に引っ張られるのがわかる。
アップの時に楽器が左に押し上げられるのがわかる。
構えの段階を大雑把に書き出すだでも重力と摩擦を感じるポイントがこんなにあります。
怪我防止だけではなく、音を出すプロセスをより繊細に、
細かい目盛りで感じ取ってより良い鳴らし方を突き詰めていきたいものです。