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Cafetalk Tutor's Column

Yuka-t 講師のコラム

思い出のお菓子 丸ボーロ

今週のテーマ: ここが一味違うよ!私の国・地域のお菓子自慢

2024年6月20日 | 2 コメント

今日は韓国色ゼロのコラムですが、よかったらお付き合いください。

九州の人なら誰もが知っているであろう素朴なお菓子、丸ボーロ。
花形の蕎麦ぼうろのようなものか、えいせいボーロ(赤ちゃんがよく食べるちいさな丸いボーロ)ではありません。直径10センチほどの円形で厚さは、お店にもよりますが、だいたい中心部の最厚部分で1.5センチくらい。小麦粉、玉子、砂糖、蜂蜜、膨張剤の重曹を練った生地を鉄板で焼いたお菓子です。
ふわふわでもなく、カリカリでもない。噛むとちょっと歯に逆らうのかどうなのか、
あんまり抵抗しないなと思いきや最後にモチっと抵抗してくるくらいの弾力で、カステラほどは甘くないけれどわりと甘め。鉄板でひっくり返さずに焼くので、下は平らで上は笠型に膨らんでいます。
この丸ボーロが、平らな面を中合わせにして2枚一緒に袋に入れられているのが
我が町のオーソドックスなスタイル。よく家にありました。近所の祖父母の家にもよくあって、そこそこ日持ちもするので本当にお馴染みのおやつでした。昔から地域の丸ボーロ屋さんかお菓子屋さんで作って販売されています。実は買って食べることはそれほど多くなかったのですが、本当にどこの家にもよくありました。
なぜかというと、私の住んでいた地域ではお通夜に参列するとお茶とお菓子がお参りのお礼として渡されていました。通称、通夜菓子。この通夜菓子の代表格が丸ボーロ。
田舎なので地域で不幸があると都合がつけば夫婦でお参りに行くのが当たり前。
両親、祖父母がお悔やみに行き、小さな缶ジュースと丸ボーロが入ったビニールを貰って帰って来る。
家に子供がいると知っているご近所さんはたまに多めにくれたりもしていたので
丸ボーロは頻繁に子供のおやつになっていました。店によって表面がサックリしたものもあれば
しっとりしたものもあり、家族で好みが違っていたりしたあの定番おやつが、まさか地域限定、
九州の代表銘菓だとは知る由もなく、、、大人になるまでお通夜ではどこでも丸ボーロを配っているものだと思っていた・・・。

たまに関東のスーパーで見かけることもあるのですが、
やっぱり地元のお菓子屋さんの丸ボーロは一味違います。
スーパー販売用にしっかり包装する必要がないので、本当に小さなお店のものは
密封していない袋に入っているんです。上は折り曲げただけ。
そのため程よくサクサク感が残っていて、それになんといっても、あの中合わせの2枚組!
「しょうがないじゃん、2枚入りなんだから」と一度に2枚を食べる口実まで準備してくれている(訳ではないと思いますが)素敵な配慮。ちょっとふっくらした袋にはなんだか幸せを感じるのです。
「あ、丸ボーロだ。どこかお通夜だったの?」と聞きながら袋に手を伸ばし、
「そっか、あそこのおじいちゃん亡くなったのか」とか言いながら、、
「やっぱりここのが美味しいよね」なんてのんきに丸ボーロにかぶりつく。
よくある日常の一コマだったのですが、今となってはそれも古きよき日本の田舎の光景だったのかな、と改めて思います。

今は帰省をすると、帰り際に姉妹が丸ボーロを持たせてくれます。
道中、小腹がすいたら食べて、と。
みんな大好き丸ボーロ。
私には通夜菓子だった丸ボーロも、子供たちには飛行機のお伴になりました。
2枚入っているので、それなりにお腹も満たされます。
丸ボーロはなぜか他の味が登場することもなければ、チョコをかけたりトッピングされることもなく
昔から変わらない姿で、そして相変わらず、美味しいのです。

みなさん、九州へお出かけの際はぜひ、丸ボーロをご賞味くださいね。
飾らない素朴なフォルムで皆さまをお待ちしております。
九州にお住まいの皆さん、お住まいの地域の丸ボーロ自慢、是非聞かせてくださいね。
お待ちしております!

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