「一期一会」
「二度あることは三度(四度も)ある???」
ーフランコとの不思議な出会いー
つくつくほうしのコーラスが夏の終わりを告げていますが、みなさんいかがお過ごしですか?
前回のコラムの募集テーマ「初めて会う人との不思議な思い出」という素敵なお題にインスピレーションを受けて、ちょっと長くなりますが、私の不思議な体験について書いてみようと思います。
旅行の醍醐味は、人、モノ、場所、味などすべてのものとの初めての出会いを体験できることにあると思います。そんな普段の生活ではありえない非日常では、不思議なことが本当によく起こります。
今から20年前の2001年の大晦日。私はイタリア人の彼(今の夫)とグアテマラ、アティトラン湖の湖畔にある村San Pedroにいました。突き抜けるように高く青い空に、周りを囲む山々をくっきり映し出す湖、のんびりと流れる時間。小さな村は新年を祝おうと外国人観光客でにぎわっていました。
宿泊していたゲストハウスには、私たちの他にも、イタリア人のカップルと、一人旅をしていたフランコという名のイタリア人のおじさん(今の私と同じくらいの年齢か?)が滞在していました。イタリア人は世界中どこでも同郷人(伊compaesano)に会うとすぐさま打ち解けてしまうので、私たちも5人でゲストハウスの一室に集まりそれぞれの旅話に花を咲かせ、年が明けるのを一緒に待ちました。
その当時私のイタリア語はカタコトだったのでお互い英語で話していましたが、聞けばフランコはトスカーナ、アレッツォ出身で、アレッツォでキオスコ(公園内にあるバール)を一人で経営し、一年のうち8カ月程は休みなく働いて、冬の3カ月は海外旅行しているとのこと。彼は財布から奥さんの写真を取り出して、私に自慢げに見せてくれました。自由な生き方だな~奥さんはさぞ寛大な人なんだろうな~、と思ったのをよく覚えています。
村にある別の大きめのホテルのバルコニーでは外国人が集まってパーティをやっていたので、最後はそこに合流してカウントダウンしました。その夜の一期一会を味わった後、私たちは、連絡先を交換するでもなく、Ciao!とお別れしました。
さて、その翌年。2002年12月24日。私たちはカンボジア、アンコールワットのあるSiem Reapにいました。街の中心から離れた裏路地にある古い木造の安宿で、ヤモリの鳴き声を聴きながらもの寂しいクリスマス・イヴの夜を迎えていました。時はもう真夜中12時近くでしたが、ロビーで「ゲストハウスくまもと」という名のゲストハウスのカードが置いてあるのを見つけてしまい、熊本出身の私はどうしてもそのゲストハウスを探しに行きたくなったのです。
クリスマス・イヴの夜に、懐中電灯も持たず、暗い路地を「ゲストハウスくまもと」目指しててくてく歩く私たち。観光客はみんなどこかのパーティでお祝いしているのでしょう。道に人の気配はありません。ところが、路地に唯一立っていた街灯の明かりの向こうから暗い人影が近づいてきます。明かりの下でその人と顔を合わせることなくすれ違い、通り過ぎようとしたその時です。
「〇×△◇?」
なんと、私の彼氏の名前を呼ぶ声がします。
「え?」と振り返ると、
そこには前の年にグアテマラで出会ったフランコが立っていたのです。
「Mamma miiiaaaaaa!!! Francooooooooo!!!」
イタリア人の二人は、お互いに信じられないという顔で熱くハグし合って再会を喜び合いました。(こういう時のイタリア人のリアクションは本当に微笑ましい。)そのまま私たちはフランコが滞在していた立派なホテルにお邪魔することになり、スペシャルなクリスマスを一緒にお祝いしたのでした。
たまたま泊まっていた安宿で、「ゲストハウスくまもと」のカードをたまたま見つけていなければ、フランコとの再会もなかったはず。ありがとう、「ゲストハウスくまもと」。
こうして、私たちは一年越しの偶然の再会を果たしたのですが、その再会の一期一会を味わった後、やっぱりまたまた連絡先も交換せず、したかもしれないけど失くしてしまい、そのまま時は過ぎました。
それから2年が経ち、夏のある夕方、私たちはアレッツォの駅に到着しました。バックパックを背負い、宿泊先のあてもなく、あのフランコを探しに。連絡先は分からない。ただある情報は「フランコ」「キオスコ」「寛大な奥さん」の3ワードだけ。
地図を見ればアレッツォにはやたらめったら公園がある。さあ、どの公園から探そうか!
Alla ricerca di FrancoーFinding Francoー
「一期一会」の味をしめたら、こちらから人に会いに行けばいい。
二度あることは三度も四度もあるかもしれない、、、。
To be continued...
この話の続きはレッスンで^^