今回のコラムのお題である、「私の一番感動した場所」について考えていたら、空想の中で世界中の今まで出会った街や風景をもう一度旅することができて、改めて感動を味わいました。海外旅行ができる日はまだ先になりそうですが、こうやって妄想をしながら素敵な場所を旅することで、少しでも語学のモチベーションにもつながるといいなあと思います。

さて、問題の「一番感動した場所」ですが、これは一つに絞るのはイタリア語の接続法を自由自在に操るのと同じくらい難題かと思います（笑）

沖縄宮古島の海、イギリスの大英博物館、グラナダのアルハンブラ宮殿、インドのブッダガヤ、ヴァラナシ、コンカンコースト、ロシアの「黄金の環」、メキシコチャパス、オーストラリアのウルル、、、と、挙げればきりがありませんが、私と一番つながりが深い国イタリアから一つ選んでみました。

イタリアで私が一番好きな街である、トスカーナ地方Arezzoアレッツォにある、Basilica di San Francesco、サンフランチェスコ教会です。

Arezzoは、Roberto Benigni監督の"La vita è bella（Life is beautiful）"の舞台になったことでも有名です。
Arezzoはとても小さな街ですが、息をのむような美しい街角が至る所に宝石のようにちりばめられていて、私の心の中の宝石箱に大切に保管してある大好きな場所です。そのArezzoの中心にある小さな教会、Basilica di San Francescoは、バチカンのサンピエトロ大聖堂のような豪華さとは対照的で、とても質素で清貧な雰囲気を漂わせています。その教会の中央祭壇に描かれているフレスコ画、"Legenda della Santa Croce（聖十字架の伝説）"は画家Piero della Francescaピエロ・デッラ・フランチェスカの最高傑作だと言われています。

私は、キリスト教徒でもありませんし特別に宗教を持ちませんが、この教会に一歩足を踏み入れた時、心の奥深くから沸き起こるとても強い感動を感じました。13世紀から何世紀にもわたって破壊と修復が繰り返されて人々に守られて今に残されている。そういう人々の愛情も感じられたからでしょうか。教会に入った瞬間から涙が出たのを思い出します。ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画も、とても温かみがあって素晴らしい作品でした。おそらく、地元熊本で大きな地震を経験した直後でそもそも心が豆腐のようだったということもありますが、心を大きく揺さぶられてしまいました。
あの時に感じた感動は一生忘れないと思います。

イタリアに心置きなく旅行に行ける日がまた来たら、ぜひもう一度訪れてみたいです。

みなさんも、まずは"La vita è bella"を観て、Arezzoの街に行った気分になってみてください。そして、いつかぜひ、実際に訪れてみてください！

”Godiamoci la vita perché la vita è bella!"
人生を味わいましょう。だって人生は美しいから！