去る9月4日には、チェービーと名付けられた今年最強の台風が関西に上陸し、甚大な被害をもたらした。私は現在大阪南部に在住しており、今回の台風を目の当たりにし、初めて台風の怖さを思い知らされた。
その日、私は学校が休校になった二人の小学生(六年と四年)の子供だけを家に残し、いつも通り出勤した。
午前中は特に何もなかったが、昼ごろになると、風が一気に強くなり、雨が降り出した。同僚たちと台風来たなといつものように世間話をしながら、仕事をしていた。1時を過ぎると、雨が横風で建物にぶつかるように大きな音を出しながら、降ってくるようになった。
それから電気が瞬間的に切れたりついたりで、これは停電するかもしれないとうっすら勘づいた。と、その時、本当に一瞬にしてあかりが全て消えた。みんなすぐに事務室を出て玄関に集まった。そこには、驚くべき光景があった。玄関前の木が根こそぎ倒れ、看板や駐車場のフェンスがまるごと飛ばされていた。
携帯が家族からの電話や、緊急速報の通知音で鳴りっぱなし。私も子供に電話をかけた。「ママ、怖い!」と小学校六年生の息子が非常に心細そうな声で話をしてくれた。その時、本当に何が何でも今日仕事を休んだらよかったと今回の台風を甘く見ていたことを後悔した。
やっと台風が徐々に通り過ぎて行き、雨も少し静まった頃、上司から帰宅許可を得て、家へ帰った。そこで更に今回の台風の怖さを知ることになる!
屋根の瓦が半分以上落ちた家や、壁に大きな穴が空いた建物、いくつものマンションからエアコンの室外機が宙にぶら下がり、電柱やカーブミラーが数えきれないほど倒れていた。車や家の窓ガラスが割れて、町中の路面にガラスの破片があった。うちもカーポートとベランダテラスのパネルが外れて、どこかに飛ばされていた。
後にインターネットニュースで知ったが、大阪のほぼ全域が停電し、かなりの地域では断水するなどライフラインが寸断され、都市機能がほぼマヒした。人々に残されたのは、懐中電灯と残り僅かな携帯の電源だった。幸い関空以外の地域はインターネット障害が殆どなかったことが、唯一の救いだった。
その夜は、不安を募らせながら、真っ暗な一夜を過ごした。自然災害の前、人間がどれだけ無力なのかを思いつつも、その夜中に電気が来たことと、翌日街角のガラスの破片がほとんど片付けられてずいぶんきれいになった事で、人間の偉大さにも気づいた。
日本に来てもうすぐ20年、毎年無数な台風を経験する中で、このようなすごい台風に遭遇するとは、本当に初めての事だった。また、この時点になっても電気の復旧ができていない地域があるとのことだが、一日でも早く元通りに復旧することを願うばかりだ。
最後に、現在北海道の地震でまたもやたくさんの方たちが余儀なく大変な日々を過ごされており、一日でも早い復興を!