わたしは、思い出していた。
あの、ブラックな日系企業での最後の日を。
あの社長から投げつけられた言葉を。
「おまえが! 英語もろくに出来ないおまえなんかが
CW社に入れるわけがないだろうが! その姿、見ててやるからな」
偉そうにわたしが返した言葉
「社長。見ててください! わたし絶対、CW社に入りますから。
そして…わたしも、社長を見てますから」
それなのに… このザマだ!
確かに、ろくに英語も出来ない。
そのための、努力をどれだけしたか…
していない!
日本での少しばかりの水産業界でのキャリアと
カナダに来てから約2年の日々だけだ。
こんなわたしに
今のわたしに、カナダへの道が見えないのは明白だった。
それでも、日本への帰国は考えなかった。
というよりも、考える暇はなかった。
この時、わたしの雇用主であるK社はCW社からの貝類製品の輸入数量が増えていた。
ところが、漁獲されてくる製品の品質やパッキング方法の水準に毎回問題が多く
CW社の工場にお任せという訳に行かなかった。
そこで必要だったのが、日本の消費者の目に近い検品員。
それが、わたしだった。
CW社は当時、3隻の大型船上加工船を有し
ホッキ貝を始めとして複数の貝類を漁獲しながら、それを船上でボイル加工、凍結し
陸上に帰って来る。
年間操業船だけに、毎月のように寄港するので
そのたびに、わたしがニューファウンドランド州とノバスコシア州の工場に出向いた。
そこでの、わたしの仕事は
漁獲された貝製品を解凍検品し、同時に陸上での選別、パッキング作業を一日中監視し
出荷までのチェック。
欧米の大型選別機やパッキング機が導入されている工場だけに
一日の生産量は20トンを超える。
一日中、検品や工場の生産状況、ワーカーの生産体制など
データーを取るのが主な仕事ながら
作業着を着て、靴は長靴。
一日中、低温の工場内で立ちっぱなし。
これは、女子の仕事ではない!
わたしは、いつも思っていた。
何よりも、わたしはこの仕事が嫌だった。
何で、こんな事をしているのか。
でも、これしか出来ない現実。
そして、この仕事をするのが…わたししか、いなかった。
嗚呼、ホッキ貝!
何で、ここまでして
まだ、カナダに居るのか……
Tracy Chapman - Telling Story (2000)
ホッキ貝とToriaの縁は深いです。
日本の水産商社時代、CW社のホッキ貝の買付・営業担当になり
ラッキーにも日本一の売上を記録( ゚∀゚)
そこから勘違いして、カナダまで来ちゃったワケですよ~((´∀`*))おマヌケぇ。
ホッキ貝、皆さんご存じですか!?
ボイルすると、鮮やかな赤と白が浮かび上がる貝。
カナダの国旗のようです。
現在でも、結構な数量のカナダ産ホッキ貝が日本には輸出されています。
ちなみに、英語ではSurf Clam(サーフクラム)と言いますが
業界内では、Hokkigaiで通じますw ~続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/