道はここにある。
いや、道はここしかなかった。
どこかしらで永住権を獲れたら、CW社を狙える!
そう思って、カナダにやって来て日系企業に入社。しかし、そこでの道は途絶えた。
そして、日本の商社・K社のサポートを得たものの、ビザのサポートは無理だとわかった。
ここまで粘って来たものの、ビザ、永住権の道が絶たれた今
思っても見なかった、自分が願っている通りのCW社の求人。
「わたしに運が巡って来た」
そう思えてならない。
CW社には日本人の営業部長が二人、インターンの若い男性が一人働いていた。
しかし、さらに日本での営業を拡大し
ゆくゆくは日本支社を設立したい、そのために日本人スタッフを増やし強化したい。
それがCW社の今回の求人の目的だった。
となれば、水産業界での経験は必須なはず。
わたしは、英語能力や北米でのキャリアは乏しいが
日本への営業を考えた時には、わたしに分があるような気がした。
CW社の役員や部長、工場長とは
日本で働いていた頃から、すでに6年前から面識もあり
よく知っている!と言ってもいいほどだ。
‥‥だけに、わたしに関しては履歴書だけで面接はなく
ライバルであるOさんの履歴書、面接の結果次第で、結果を決めるという。
「週内、金曜には結果を出すから」
その言葉は、戦いのゴングだった。
ただただ結果を待つ日々は、不安しかない。
自信はあるようで、ないようで…でも、ここで決まらなければ
道はもう無いと、わかりきっていた。
そして
迎えた金曜日。
ずっと、家にいて電話を待っていても連絡は来ない。
夕方になっても、何も連絡は無かった。
そろそろ、CW社の終業の時間と思われる頃、電話が鳴った。
電話の向こうの主は、日本人の営業部長S氏。
その声は、暗かった。
「残念だけど、今回はToriaさん駄目だったよ。
Oさんに決まった。
ま、Toriaさんが駄目だったのは
まず永住権を持っていない。あと英語能力もかな。
CW社は、これまで外国人雇用。つまり労働ビザとか永住権のサポートまでをして
外国人雇用をした事が無いんだよ。
ビザのサポートとかってなると、それだけお金も掛かるわけだし。
やっぱり、永住権が無いと駄目って事だね。
そうそう、インターンのT君。クビだよ。
彼は1年のインターンで、ここから継続するとなると労働ビザが必要なんだよ。
だけど、会社はビザのサポートをしないって事で、終了ってなったワケ。
そんなだから、結局は永住権ありきな募集だったのかな」
わたしは、ただ黙って聞くしかなかった。
あ…! よく日本で働いていた時もあったな。
「前例がないから」
前例もないし、お金も掛けられないし、能力も足りないし
だから、駄目だったんだね。
わたしは、胸の内でボソッ!とそう呟いた。
終わった! すべてが。
金曜のダウンタウンのメインストリートは賑やかで、道行く人は皆、楽しそうに見えた。
お気に入りのCDショップに入ろうとすると
店先に流れる、寂しい曲の調べに涙が込み上げてきた。
わたしは何のために、カナダにやって来たのか。
自分の人生に悔いを残したくない!と思って
これまでの人生で、した事も無いほどの決断を繰り返して“ここまで来たのに”。
わたしは何をやっているのか。
何も掴むことが出来ていない「わたし」という人間。
事、ここに至っても
わたしは、日本に帰る事は考えていなかった。
このまま、帰れない。そう、思っていた。
だが、もう道は無い。
いや、道はあった。
絶望の道が、ここにあった…
Holly Cole Trio - The Tennessee Waltz (1999)
あ~\(。⊿°)/ どっぷり絶望。
これでもか!って言うほど、失敗繰り返しているのに
まだ、オマエ諦めないのかよ(-_-;)って
きっと周りの人も思っていたはず。
さて、また振り出し!?ですよ。
ポンコツToria、まだまだ行くのか~ 続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/