みなさん、いきなり質問です。
「何を飲みますか」と「何か飲みますか」にはどんな違いがありますか。
「どちらも同じ」というわけにはいきません。
「何を」と「何か」の一字が違うと、答え方が変わってしまうからです。
「何を飲みますか」は、コーヒー? ジュース?
つまり、どんな飲み物がいいかを聞いています。
「何か飲みますか」は、飲みますか? 飲みませんか?
つまり、「はい」か「いいえ」のどちらなのかを聞いています。
このように日本語には、ひらがな一字が違うだけ、またはひらがな一字ががあるかないかで、意味がだいぶ変わってしまう言葉があります。
今回のコラムはその代表例を集めました。
「日本語ミニ講座1」のときと同様、今回も最初に問題を書きます。
みなさんは少し考えてから読み進めてください。
では、スタート!
問題1 ぜんぶ? ぜんぶで?
a 宿題はもう(?)終わりました。
b ラーメンが390円、ギョーザが280円、(?)670円です。
「ぜんぶ」は「残りなく、例外なく全て」ですが、「ぜんぶで」は「数を全て合わせて、合計して」という意味で、特に値段の合計に使います。
aは「ぜんぶ」、bは「ぜんぶで」です。
問題2 さきに? さっき?
a 部長、(?)田中さんから電話がありました。
b この仕事を(?)やってください。
厳密には「一字が違い」ではありませんが、この二つもよく似ています。
「先(さき)に」は「順番が前」のことで、反対は「後で」です。仕事が終わって帰る時、周りの同僚に「お先に失礼します」と言いますね。「さっき」は「先(さき)」が変化した形で、「少し近い過去」を表します。「先に」は主に漢字で表記しますが、「さっき」はひらがなで表記します。
aは「さっき」、bは「さきに」です。
問題3 一度? 一度も?
a あなたも(?)外国へ行ってみたらどうですか。
b この映画は(?)見たことがありません。
「一度」は回数が一回という意味ですが、「一度も」は後ろに「~ない」が来て、「全くない」という意味になります。
aは「一度」、bは「一度も」です。
問題4 まで? までに?
a レポートは来週の金曜日(?)提出してください。
b この店は夜11時(?)営業しています。
「(時間・日付・曜日)まで」は、動作や状態がその時までずっと続くことを表します。それに対して、「(時間・日付・曜日)までに」は、その時を期限に何かを終わらせることを表します。
aは「までに」、bは「まで」です。
問題5 たとえ? たとえば?
a 明日は(?)大雪が降っても、恋人の家に行きます。
b 日本のアニメ、(?)『ワンピース』や『ナルト』が好きです。
「たとえ」は「~ても」と一緒に使って、状況は変わらないことを強調する言い方です。「たとえば」は例を出すときの言い方です。
aは「たとえ」、bは「たとえば」です。
問題6 つい? ついに?
a 2012年、東京スカイツリーは(?)完成した。
b スーパーやコンビニで甘い物を見ると(?)買ってしまう。
「つい」は「我慢できない」気持ちを表します。ほとんどの場合、「つい~てしまう」の形で使います。「ついに」は「長い時間かかって最後に」という意味です。
aは「ついに」、bは「つい」です。
問題7 ところで? ところが?
a 今日の授業はこれで終わります。(?)昨日、教室に傘を忘れた人がいますよ。
b かぜは一晩寝れば治ると思った。(?)朝になっても熱は全く下がらなかった。
「ところで」は、話の話題を変える時に使う表現です。「ところが」は、予想と違う内容の文が続くときに使います。問題文の場合、「一晩寝ればかぜが治る、そして熱も下がる」ことが予想される内容ですが、そうではなかったという内容です。
aは「ところで」、bは「ところが」です。
なお、「~どころか」という文法もあります。
例)あの人は独身どころか、結婚して子供が3人もいる。
「程度が全く違う」という意味です。大切な文法ですよ。
いかがでしたか。
全問正解できましたか。
「一字違うだけなのに面倒くさい!」と思わないで、一つ一つ丁寧に覚えていきましょう。
今回は2023年の最後のコラムになります。
1年間、私のコラムを読んでくださいまして本当にありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします!