みなさん。
いつも私のコラムを読んでくださいまして、本当にありがとうございます。
今回から〝日本語ミニ講座〟というタイトルのコラムをときどきお送りします。
日本語の文法や言葉の使い方で、覚えておいたほうがいいことを選んで、このコラムに書きます。
第一回目は「副詞とその後ろ 初級編」です。
みなさんは「あまり」という副詞を知っていますね。
では、「いいえ、あまり」を使って次の質問に答えてください。
・その料理はおいしいですか。
・きのう勉強しましたか。
答えはもちろん「いいえ、あまりおいしくないです」と「いいえ、あまり勉強しませんでした」です。
「あまり」の後ろには「~ないです」や「~ません」などの否定形が必ず来るからです。
このように、副詞の中には後ろの言葉とのつながりがとても強いものがあります。
それを知らないで、副詞の意味だけを覚えて使ったら、変な文になるおそれがあります。
そうならないように、次に紹介する副詞は後ろとのつながりも必ず覚えてください。
なお、先に問題を書きますから、みなさんは答えを考えてから読み進めてください。
1と2は、正しいほうを選ぶ問題です。
1 私はあの映画を(a ぜひ b きっと)見たいです。
2 田中さんは次の試験に(a ぜひ b きっと)合格するでしょう。
「ぜひ」は強い願望や要望を表すので、後ろには「~てください/ましょう/たいです」のような意志表現がよく来ます。「きっと」は確信があるという気持ちを表します。後ろには「~だろう」のような推量表現、または「~と思います」がよく来ます。
1は「a」、2は「b」です。できましたか。
次の3は動詞を正しい形に変える問題です。
4は動詞を正しい形に変えて他の表現と接続してください。
3 電車がなかなか(来ます → ?)ので、タクシーで行きます。
4 だんだん(寒いです → ?)から、かぜに気をつけてください。
「なかなか」は、期待や願望がまだ実現していないので、早く実現してほしいという気持ちを表します。後ろには否定表現が来ます。「だんだん」は少しずつ変化する様子を表します。後ろには「~なります」や「~なってきます」のような変化を表す言い方が来ます。
3は「来ない」、4は「寒くなります」や「寒くなってきます」が正解。
次は選ぶ問題です。
5 私は明日のパーティーに(a もしかしたら b たぶん)参加できないかもしれません。
「~かもしれない」は「可能性がある」という意味ですが、「~だろう」より弱いです。「~だろう」は80%ぐらい、「~かもしれない」は50%ぐらいと考えればだいたい大丈夫です。
「たぶん」は「きっと」よりは弱いですが、可能性がかなり高い気持ちを表し、「きっと」と同じく「~でしょう」や「~と思います」と使います。
「もしかしたら」は、その可能性はあるけれど、かなり低いという気持ちを表します。後ろには「~かもしれない」のような弱い推量表現が来ます。
正解は「a」です。
6と7は動詞を正しい形に変えて他の表現と接続してください。
6 激しい嵐(あらし)で、小さい船は今にも(沈みます → ?)
7 この問題はとても難しい。いくら(考えます → ?)わからない。
「今にも」は、直前の切迫した気持ちを表します。後ろには同じく直前の状態を表す「~そうです」がよく来ます。「今にも雨が降りそうです」は、日本語を勉強した人なら誰でも一度は聞いたことがあるとても有名な例文ですね。なお「~そうです」には他にもいろいろな使い方があります。必ずチェックしておきましょう。
7の「いくら」は値段を聞く「おいくらですか」じゃありませんよ(笑) 程度が高いことを表し、「~ても」のような逆接表現と使います。
6は「沈みそうです」、7は「考えても」が正解。
いかがでしたか。
全問正解できましたか。
今回取り上げた副詞はどれも初級レベルのものばかりですが、基本は大切。一つでも間違えたら、必ず復習しておきましょう。
最後に一つ。
「後ろとのつながりが強い」と言いましたが、特に会話では後ろが省略されることもあります。
例)A:仕事の後、食事に行きませんか。
B:ええ、ぜひ!
これは明らかに「ぜひ行きましょう」「ぜひ行きたいです」のことですね。日本語には省略が多いということも「ぜひ覚えておいてください」。
今回も最後まで読んでくださいまして、本当にありがとうございました。
次回のコラムをお楽しみに!