- *カナダへの道【前半】を読む
- *いざ!カナダへ⑬
- *想像と現実⑭
- *未知なる道へ⑮
- *でこぼこ道を歩き始める⑯
- *落ちぶれた、わたし⑰
- *転んでも。⑱
- *大海へぶち込まれる⑲
- *壊れていく、わたし⑳
- *復縁、それとも~㉑
- *絶望の淵㉒
- *サヨナラを力に㉓
- *さよならカナダ!㉔
日本に帰国した翌日
わたしは、師走の築地を歩いていた。
カナダの日系企業で働いていた時の、取引先・中堅水産商社2社に
帰国と年末の挨拶をするのが目的だった。
それは、表面上の目的であり
実は、わたしには大きなもくろみがあった。
それは、かなり思いきった事であり、前例もなく、もしや非常識ともいえるような事。
だが、なりふり構っていられなかった。
まず、K社を訪問し担当者と社長に挨拶をすると
わたしは早速、今日“ここに来た” 本当の目的を話し始めた。
「わたしを御社の駐在員として、カナダで仕事をさせてもらえませんか?
どうしても、もう一度! まだカナダで頑張ってみたいんです。
この仕事を通して、カナダの永住権取得を目指したいんです。
もちろん、御社に貢献したいと思っています。
どうか、力を貸していただけませんか」
何とも厚かましい、一方的なお願いを わたしはしたのだ。
30過ぎ、女、日本で約10年、カナダで1年9か月 水産業界で仕事をしたとはいえ
何が出来るかわからないような“わたし”である。
それでも、もう“これしか道はなかった”。
K社は、今までカナダに駐在員を置いた事がない。
しかも、担当者自らが頻繁に海外へ買付や工場視察・検品に出向く事でも有名な会社ゆえ
駐在員など必要ない会社である。
到底、あり得ないお願いをわたしはしていた。
社長は「うーん!」と唸り
ちょっと考えるような表情を見せた後
「いいでしょう! あなたの夢を応援しましょう。仕事も永住権も。
細かい事は、担当者と相談してくれればいいから」
意外にも、あっさりとOKが出てしまった。
その日、担当者とは話す時間がなく、後日細かい事は…という事でK社を後にした。
その足で、わたしが向かったのはP社だった。
ここでも、わたしの勝手なお願いは受け容れられた。
というのも、すでにカナダに駐在オフィスを持っていて話が早かったのだ。
ちょうど、今赴任している駐在員の交代要員を探している時期で
すぐに、好条件の給与と福利厚生まで提案が出た。
普通なら、すぐにココに飛びつくはずである。
ただ、P社の専務から条件に入れられない項目は、ビザと永住権のサポートだった。
条件は完璧だ!
しかし、わたしの希望の要である
労働ビザ、永住権取得には辿り着けない。
その一点で、わたしのなかでP社という選択は無くなった。
自動的に、わたしが自分のこの先を・人生を
切り拓いていくために選択したのは、K社となった。
2020年、世間は仕事納めの日
わたしはまたK社のオフィスに居た。
早々と、K社と契約社員としてカナダに赴任する取り決めをし
書類にサインをした。
また、振り出しに戻ったのだ。
ゼロからの出発。
夢を、夢のままで終わらせないために
世紀の大逆転を目指して
わたしは新しい時代に
21世紀に
日本からカナダへ飛び立つ事になった…
渡辺美里「Believe」(1988)
今、思い出しても
随分と恥ずかしい事というか、なりふり構わず
よくお願いしたな…と思います。
後日、K社の社長さんが言っていたんです。
「あなたが何が出来るかわからないなーと思ったけど、とにかく
Toriaさんの夢を応援したい! そう思ったんだよね」
この方がいなかったら、確実に
私は今、ここにはいません(o ̄∇ ̄)/
さぁ!ここから一直線と言いたいところですが
振り出しに戻り、ゼロから歩き始める「カナダへの道」。
ますます険しく、私に試練を与えてくれます~続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/