翌日、鈍行の横断列車でキャンべルトンからハリファックスまで約10時間。
わたしには、その時の記憶がほとんど残っていない。
何を思いながら、家路に着いたのか…
あまりの絶望に、頭が空っぽだったのだろうか。
会社をクビになったわけではなかった。
だが「反省するまで、会社に出て来るな!」
それが、社長の言い分だった。
入社して約1年半。
安月給で、ほとんど休みもなく、常にギリギリの状態で働いていた。
その上、明らかに得意先を騙すような仕事の仕方が、わたしには納得が行かず
社長に頭を下げる気にはならない。
結局、わたしは8月から約1か月
会社に行くことは無かった。
ポカンと空いた時間、わたしは何もする事無く
初めて、英語学校に通った。
中級クラスに入れられるも
こちらは31歳、周りは18歳から21歳のアジア人ばかり。
2週間通ったものの、つまらなくて残りの2週間は行くのを辞めた。
このままではいけない!とわかりながらも
仕事も勉強も、何もする気が起きないまま時間が過ぎた。
8月末、わたしは本意ではなかったが
社長に頭を下げ
「心を入れ替えて頑張りたい」と告げた。
復縁…だった。
本意ではないとはいえ
「ここしかない!」その気持ちだけはずっと在り続けるだけに
心機一転やるしかない。その思いだった。
しかし、わたしの心はもう「そこ」には帰らなかった。
仕事をしようとしても、集中が出来ず
苛立ちばかりが募り
自死するか、それとも社長を…。
そんな、自分でも信じられない事を考えた時
ようやく、気づいた。
死んでまで、ここにいる価値はない。
死ぬくらいなら、会社を辞めた方がいい。
2000年10月
カナダにやって来て約1年8か月目
わたしは一大決心をした。
この会社での労働ビザを捨てて、永住権取得の可能性も捨てて
退職する事を。
この大きな決断は、間もなく大波乱を呼ぶ事になり
わたしがカナダへの道を歩むなかで
最大の難所になる…
SAYAKA - Ever Since (2002)
カナダに来てから、苦しい事はいっぱいあれど
この最初の1年9か月間
自分をだまし、苦しみ抜き
そして家族には「元気で楽しくやってるよ!」と嘘をついた日々。
復縁したかに見えた「縁」は、やはり戻りそうにない。
恋愛でも、一旦お別れして復縁…難しいですよね(* ̄▽ ̄)フフ
さて、次回は最大の難所がやって来ます!
こんな展開あるの!?みたいな~続きを読む
TORIA (o ̄∇ ̄)/