高校受験や大学受験で小論文を課されるケースは増えており、その評価は単なる文章力だけでなく、考え方や論理性、表現力が総合的に見られます。しかし、多くの受験生が意識せずに陥る失敗例も少なくありません。本記事では、小論文で避けるべき典型的な失敗例と、その具体的な対策について解説します。受験生や保護者の方々がこれを理解することで、より確実に合格に近づくことができるでしょう。

小論文は、受験生の考え方や社会性、そして表現力を評価する重要な試験項目です。特に以下のような能力が求められます。

• 論理的思考力：自分の意見を筋道立てて説明できるか。
• 独自性と創造性：他者と差別化できる新しい視点や考え方があるか。
• 文章表現力：誤字脱字がない、適切な日本語で伝えられるか。

これらを意識して取り組むことが、小論文攻略の第一歩です。

(1) テーマから逸れる

失敗例:
与えられたテーマを正確に理解せず、自分の興味や得意な話題に話を逸らしてしまう。

対策:

• 設問をしっかり読む
  小論文のテーマや設問には、「何を問いたいのか」が明確に示されています。例えば、「AI技術の進展について考える」というテーマであれば、AI技術そのものだけでなく、それが人々の生活にどのような影響を与えるかを考察することが求められることが多いです。
• キーワードを意識する
  設問中のキーワード（例：影響、課題、可能性など）をピックアップし、それに関連した内容を書くようにしましょう。

(2) 結論が曖昧

失敗例:
結論がぼんやりとしていたり、全体の文章を通じて何が言いたいのかが分からない。

対策:

• 結論ファーストの構成を取る
  結論を先に述べ、それを支える理由や具体例を後に続ける「序論→本論→結論」の構成にすると、読み手にとって分かりやすい文章になります。
• 論理的な一貫性を保つ
  自分の結論を一貫して支持する内容を書くことを意識しましょう。反対意見に触れる場合でも、最終的に自分の立場を明確にすることが重要です。

(3) 文字数不足または超過

失敗例:
指定された文字数を守らず、内容が薄かったり、逆に冗長すぎて読みにくい文章になる。

対策:

• 文字数のガイドラインを意識
  小論文では、「1000字以内」など文字数が指定される場合がほとんどです。400字程度で序論、500字で本論、100字で結論というように、大まかな配分を事前に計画しておきましょう。
• 冗長な表現を避ける
  「～であると思います」や「個人的な意見ですが」など、不要な言葉は削り、簡潔な表現を心がけましょう。

(4) 具体例が不足している

失敗例:
抽象的な意見や理想論ばかりで、具体的なエピソードやデータが欠けている。

対策:

• 具体例を交える
  自分の意見を裏付けるために、新聞記事やニュース、学校で学んだ知識などを引用して説得力を高めましょう。
• 日常生活から学ぶ
  自分の経験や観察した出来事を例に挙げると、独自性が出やすくなります。

(5) 誤字脱字や文法ミス

失敗例:
簡単な誤字脱字や、文法的に誤った表現が多い。

対策:

• 書き終えた後の見直し
  小論文を書き終えたら、必ず時間を取って誤字脱字や文法ミスをチェックしましょう。
• 文章構成の練習をする
  普段から読書や新聞を読む習慣をつけ、正しい日本語の感覚を身につけることも重要です。

(6) 型にはまった意見

失敗例:
教科書通りの内容や、ありきたりな意見に終始してしまう。

対策:

• 自分の考えを深掘りする
  「なぜそう思うのか」「他にどんな可能性があるのか」を掘り下げて考えることで、独自の視点を持つことができます。
• 多角的にテーマを見る
  自分と反対の意見や、多様な視点（経済的、環境的、倫理的など）を取り入れることで、内容に深みが出ます。

テーマ例:「情報社会の未来について考える」

【序論】

情報社会の発展は、私たちの日常生活を大きく変えた。その進化は今後も続くと予測されるが、それに伴う課題も存在する。本稿では、情報社会の未来における可能性と課題について考察する。

【本論】

1. 可能性について
   AIやビッグデータの活用により、医療や教育分野での新たな革新が期待される。例えば、AI診断による迅速な病気の発見は、医療の質を向上させると考えられる。
2. 課題について
   一方で、個人情報の漏洩や格差の拡大などのリスクが指摘されている。具体的には、SNSでのデータ不正利用事件が増加している現状がその一例である。

【結論】

情報社会の未来には多くの可能性が秘められているが、それを実現するためには課題を克服する努力が必要である。私たち一人一人がその責任を自覚し、より良い社会の構築を目指していくことが重要である。

(1) 模範解答を読む

過去の模範解答を参考にすることで、求められるレベルや構成を理解できます。

(2) 定期的に書く練習をする

週に1回でも良いので、小論文を書く時間を設けましょう。書けば書くほど、構成や表現のスキルが向上します。

(3) 第三者に添削してもらう

先生やオンライン家庭教師に添削をお願いすることで、自分では気づかない改善点が分かります。

小論文で失敗を避けるためには、「テーマを深く理解する」「論理的な構成を意識する」「具体例を盛り込む」ことが重要です。本記事で紹介した失敗例と対策を参考に、実践的な練習を積み重ねていきましょう。受験生の皆さんが小論文を武器にして、志望校合格を果たせることを応援しています！