みなさん。
前々回のコラムで文法と聴解について、前回のコラムで語彙について、勉強の進め方をご提案しました。
今回はいよいよ最後の難関、読解についてお話します。
JLPTを受けた人に感想を聞くと、「やはり読解問題が一番大変だった」と言う人が多いです。
では、今日から1日に最低1題、3ヵ月の間、ほとんど毎日読解の練習問題をやれば、読解力もついて、試験で高得点が取れるでしょうか。
確かに、すべての文法を勉強して文法問題はだいたいOK、語彙力にも自信があるという人は、問題集や過去問題を使った勉強をすぐに始めてもいいでしょう。
しかし、まだ勉強していない文法がたくさんある人や語彙力に自信のない人が、それぞれのレベルの練習問題や過去問題をやっても大丈夫でしょうか。文の内容がよく理解できなくて、ストレスもたまって、読むことがますます嫌になってしまう可能性もあります。そうなったら、本当に残念ですね。
「じゃ、文法の勉強が全部終わるまで、読解の勉強はしないほうがいいですか」という声も聞こえてきそうですが、みなさんはどう思いますか。
この質問に私はこう答えます。
「いえいえ、そんなことはありません。今すぐに始めてほしいことがあります。」
それは何かというと、「読むことに慣れる」ことです。
前々回のコラムで、聴解力をつけるために「耳を慣らす」ことをご提案しました。それと考え方は似ています。
では、具体的に何をやればいいかご説明します。
これから1ヶ月か1か月半、1日に20~30分、「日本語を読む時間」を作ってください。
朝10~15分、夜10~15分のように分けてもいいです。
読むものは、現時点のご自身の日本語力で十分に読めるものを選んでください。
つまり、N1を受ける人はN2以下のものを、N2を受ける人はN3以下のものを、N3を受ける人はN4以下のものを選んでください。
難しいというストレスがあまりないもの、気楽に楽しく読めるものをできるだけたくさん読みましょう。
みなさんの机の引き出しや本棚に、何年も前に使った日本語のテキストや問題集がまだ眠っているかもしれません。それらを再利用しましょう。
テキストには、文法の説明や例文以外に、読解や読み物のページもあるはずです。
問題集にも文法問題以外に読解問題があります。
過去問題を持っている人はももちろんそれも使ってください。
何年か前に1度読んだ文章でも、もう一度読んでみましょう。
簡単そうで、意外に難しいかもしれませんよ。
みなさんの中には、昔のテキストや問題集は全部捨ててしまったという人もいると思います。
そのような人は、「日本語学習者向けの読み物」「日本語多読無料」などのキーワードでネット検索してみてください。初級から上級まで、いろいろな文章が出てきますよ。
ここで大切なことは、何度も言いますが「読むことに慣れる」ことです。
難しい文が正確に「読めるようになる」ことではありません。
特に母国語でもあまり読書をしない人、読むのが苦手という人は、今の日本語力で十分に読めるものをたくさん読んで、読むことに対するストレスを少しでも減らしてください。
1ヶ月か1か月半後、読む習慣がだいぶついた頃に、予定通りなら文法の勉強もかなり終わっていると思います。
同時にもう少し難しい文を読んでみたい、実際の試験問題ができるかどうか試してみたいという気持ちも芽生え(めばえ)てくるでしょう。このような気持ちが芽生えたら、それは、それぞれのレベルの練習問題や過去問題に移ってもいいという〝サイン〟です。
遠慮せず、どんどん実際の問題にチャレンジしてください。
いかがでしたか。
今回「JLPT合格を目指して」というテーマで三つのコラムをお送りしました。
いずれも「試験3か月前」を前提に、どんな勉強をするべきか、ご提案しました。
全体の内容を簡単にまとめます。
最初の1ヶ月か1か月半を使って、文法の勉強を一通り終わらせましょう。
それと同時に「耳を慣らす」「気楽にすべての語彙に目を通す」そして「読むことに慣れる」という練習を毎日少しでもいいですからやってください。
試験勉強はもちろん楽ではありません。
でも、みなさんがJLPTに合格するために、日本語をたくさん勉強して、以前よりも日本語が上手になって、そして、日本語は難しいけどおもしろい、日本語を勉強してよかったと思ってくれたら、本当にうれしいです。
頑張ってJLPT合格を目指しましょう!
今回も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
次回のコラムもお楽しみに!