英語を勉強していれば、英語圏の国に住んでしっかり英語を勉強したいと思いますよね。では、英語圏の国、たとえば私の住んでいるアメリカに住みさえすれば英語は上達するのでしょうか?
答えはI'm afraid not!です。
私がオレゴン州ポートランド市に住み始めてはや3年半、今までにたくさんの留学生を見てきました。3ヶ月だけの滞在から半年、なかには1年ほど滞在し、英語の勉強に専念するためにポートランドにやってきます。しかしその大半がまだあまり英語が流暢にならないまま日本に帰国する結果になってしまっています。では、その理由はなぜでしょう?考えられる理由を挙げてみます。
1. アメリカに住めば英語が上達するだろうと思い、日本でしっかり英語を勉強しないまま渡米してしまう。
2. せっかくアメリカに住んでいるのに、自由時間はいつも日本人の友人と過ごし(中には日本人のルームメイトと住んだりして)、学校以外で英語を話す機会がない。
3. アメリカに住んでいるし毎日英語学校に通っているという安心感から、自由時間に自分で英語の勉強をしない。
4. 英語学校の先生たちは生徒のためにゆっくり簡単な英語を話すし、学校の友人たちは間違いや訛りのある英語を話すので、ネイティブの話す英語を聞く機会が少ない。
5. アメリカ人の友人を作るなどして、話す機会を作りたいが、気後れしてしまってなかなか話しかけられない。
以上が主な理由だと思われます。では、それぞれについてもう少し詳しく、対処法なども合わせて見ていきます。
理由1の日本で勉強ができないままアメリカに来てしまった人たちは、こちらに来て少なからず苦労するようです。学校でも先生の言うことがいまいち理解できないし、質問したくてもどう聞けばいいのか分からなくて結局分からないまま過ごしてしまうことも多いはず。英語を聞く機会は多いですが、まったく意味の分からない英語をたくさん聞いてもあまり効果はありません。それはアメリカ映画を字幕でたくさん見ている日本人の英語が上達しないところから見てとれると思います。個人的には、海外で英語漬けになって効果が現れるのはTOEICで600点~700点くらいとれるようになってからだと思っています。むしろそれまでは日本で日本語を使って勉強するほうが英語は伸びます。(注:私はTOEICで英語のレベルを計るのは好きではありませんが、あくまで目安として使っています。)
理由2のいつも日本人と過ごすというのはとてもよく見られる光景です。私がポートランドに引っ越してきたときには、英語が上達するまではなるべく日本人の友人を作らないように、学校の日本人グループからは遠ざかっていましたが、それでも数人の友人はできました。これはある程度は仕方ないと思います。いきなりまったく違う環境に入り込むと自分でも気づかないうちにストレスがたまります。その上英語が思うように話せないもどかしさも重なると、どうしても同じ状況にいる友人とその状況について話し合ってストレスを発散したいものです。ですから、ある程度は容認するとして、日本人と過ごしたあとには、その時間分をあえてアメリカ人や他の国からきている留学生などと過ごす機会を積極的に作るなどして、英語を話す環境に自分をおきましょう。たとえばパーティをするときなど、日本人だけではなく、多国籍の友人を招待するのも効果的です。すると自然にパーティでの共通語が英語になります。
理由3の自由時間に自分の勉強をしないというのもありがちだと思います。とくに外国に住んでいると、観光に行ったり街を散策したり、新しい友人と遊んだりと楽しいこともたくさんあるので、家でゆっくり英語の勉強をする時間をとること自体が難しくなります。これも「理由1」の段落で述べたとおり、英語の基礎のできている人なら、遊びながら新しい英語を吸収・練習することができて良いのですが、まだ基礎ができてない人には必ずしも効果がでるとは限りません。やはり自宅で自分のペースでコツコツと勉強する必要があります。
理由4のネイティブの英語を聞く機会が少ないのは、私もとても苦労しました。こちらに移ってすぐの頃はアメリカに住んでいるのにアメリカ人と話す機会がほとんどなかったです。たまに話す機会があっても、私の英語がまだまだ限られていたので、1時間もたつと話せるネタがつきてしまい、えぇっと・・・というなんともいえない気まずい間が生じ、その後一緒に遊ぶほど仲良くなるということは滅多にありませんでした。これに対して私がおこなったのが、日本語を勉強しているアメリカ人と友達になるということでした。それなら話すネタもたくさんあるし、お互いの勉強にもなってwin-winです。
理由5の気後れしてしまって話しかけられないというのは日本人の典型的なシャイな性格ですね。あと日本人には、英語ができなくて申し訳ないという罪悪感がしみついています。これについては私もかなり改善されてきたとは言え、まだまだ格闘中です。たとえ間違った英語を話しても、「しゃべったもん勝ち、私の英語を理解しないあなたが悪い!」という心構えで行きましょう。これ本当です。逆に外国人が私たちに日本語で話しかけてきたら、たとえ間違った日本語でも、なんとか分かってあげようとジェスチャーを使ったり努力しますよね?相手はネイティブなわけですから、当然英語については詳しいわけで、その上で理解しようと努力するのが親切心というものです。ここポートランドはフレンドリーな人が多い街で、実際私は英語が下手だからと対応が悪くなったりするアメリカ人に会うことはとっても稀で、むしろ助けてあげようと努力する人のほうが多いです。
というわけで5つの理由について考察してみましたが、結論として、留学したからといって自動的に英語が上達するわけではないんです。むしろ最初のうちは日本で勉強したほうが慣れた環境でしっかり時間をとって勉強できる分、効率的です。また最近は、ここCafeTalkのようにオンラインでネイティブの人たちと話ができる機会が簡単にもてるようになったので、たくさんレッスンをとって日本に居ながら英語漬けの環境に浸ることも可能です。留学することに比べたらかかる費用も安いものです。特に留学してしまうと仕事ができなくて(たいていの場合法律に反するので)収入がゼロになるので、日本で仕事をしながら夜や週末にオンラインレッスンを受けるほうが、経済的にも余裕ができると思います。
ただし、留学にはもちろんメリットもあります。それについてはまた機会があればお話したいと思います。質問・コメント等、お気軽にメッセージしてくださいね!
Junko