小論文は、高校受験や大学受験で頻出の科目です。特に本論は小論文の「心臓」ともいえる部分であり、主張を論理的に伝える力が試されます。しかし、「本論で何を書けばいいかわからない」「主張がぼやけてしまう」という悩みを抱える受験生も多いのではないでしょうか?
この記事では、「主張を明確にするための本論の構築法」をわかりやすく解説します。具体例を交えながら、誰でも実践できる手法をご紹介しますので、小論文を書く際の参考にしてください。
小論文の構成と本論の位置づけ
まずは、小論文全体の構成を確認しましょう。小論文は基本的に次の3つの部分で構成されます。
- 序論:主張(結論)の提示
- 本論:主張を支える論拠の展開
- 結論:主張のまとめと余韻の付加
この中で本論は、序論で述べた主張を具体的な根拠や例を使って支える部分です。本論が弱いと主張が説得力を欠き、採点者に好印象を与えることができません。
本論を構築する3つのステップ
本論をうまく書くためには、次の3つのステップを踏むことが重要です。
1. 主張を分解する
本論を書く前に、序論で提示した主張を「分解」し、複数の論点に整理します。これにより、主張を論理的に展開しやすくなります。
例
主張:「読書は人間の成長に不可欠である」 → 分解:
- 読書は知識を広げる(知的成長)
- 読書は共感力を養う(情緒的成長)
- 読書は自己表現力を高める(表現的成長)
分解された論点ごとに段落を設けることで、本論が明確になります。
2. 論拠を用意する
分解した論点に対して、具体的な根拠やデータ、例を付け加えます。この論拠がしっかりしているほど、本論の説得力が高まります。
- 論拠の種類:
- 事実やデータ:客観的な証拠を提示
- 例:「日本経済新聞の調査によれば、読書習慣のある学生は学力テストで平均15点高い」
- 具体例:実体験や有名人のエピソード
- 例:「村上春樹氏も読書が創作の原点であると語っている」
- 論理展開:因果関係を論理的に示す
- 例:「読書をすることで多様な価値観に触れるため、共感力が養われる」
- 事実やデータ:客観的な証拠を提示
3. 段落ごとに論理を組み立てる
本論は複数の段落で構成されますが、各段落ごとに次の構成を意識しましょう。
- 主張(トピックセンテンス)
- 各段落の冒頭で、その段落の主張を簡潔に述べる。
- 例:「まず、読書は知識を広げることで知的成長を促す。」
- 論拠
- トピックセンテンスを裏付ける具体的な根拠を示す。
- 例:「たとえば、科学分野の本を読むことで、普段の生活では得られない情報を得ることができる。」
- まとめ
- その段落の主張を一度簡潔に振り返り、次の段落につなげる。
- 例:「このように、読書は知的好奇心を満たし、新しい知識を吸収するための手段となる。」
説得力のある本論を書くためのポイント
本論の説得力を高めるためには、次のポイントを意識しましょう。
1. 論理の一貫性
論点同士のつながりが明確であることが重要です。例えば、段落ごとの内容がバラバラだと、読者に「結局何が言いたいの?」と思われてしまいます。以下のように、段落間で論点をつなげる工夫をしましょう。
- 接続詞やフレーズを活用
- 「さらに」「一方で」「その結果」「したがって」など
- 結論に向かう流れを意識
- 論点を「原因 → 結果」または「具体 → 抽象」の順で展開
2. 簡潔かつ具体的な表現
抽象的な表現や冗長な文章は避け、具体的な言葉で論点を述べます。
- 悪い例:「読書は人にとって大切だと思います。」
- 良い例:「読書は、人が他者の視点を学び、多様な価値観を理解する手段である。」
3. 適切な例やデータの使用
具体的な例やデータを使うと、主張に信憑性が生まれます。ただし、以下の点に注意してください。
- 信頼できる情報を使う。
- 書きすぎて本論が冗長にならないよう注意する。
実例:本論の構築法
実際の小論文でどのように本論を構築するか、以下に例を示します。
テーマ:AI技術の普及による社会的影響
- 序論(主張)
「AI技術は社会を効率化する一方で、新たな課題を生むため、その影響を正しく理解し対応する必要がある。」 - 本論(論点)
- AIによる効率化の恩恵
- 主張:「AI技術は作業効率を飛躍的に向上させる。」
- 根拠:「例えば、物流業界ではAIが需要予測を行い、在庫管理の無駄を大幅に削減している。」
- 労働市場への影響
- 主張:「一方で、AIの普及は雇用機会の減少を引き起こす。」
- 根拠:「機械学習を活用したプログラムが単純作業を代替し、人間の労働力が不要になる分野が増加している。」
- 倫理的課題
- 主張:「さらに、AI技術の活用には倫理的課題が伴う。」
- 根拠:「AIが医療診断を行う場合、責任の所在が不明確になるという問題が指摘されている。」
- AIによる効率化の恩恵
- 結論(まとめ)
「以上のように、AI技術の普及には効率化や利便性の向上というメリットがある一方で、雇用や倫理の問題も生じている。これらの課題を乗り越えながら技術を活用する方法を模索すべきである。」
本論を磨くためのトレーニング方法
1. 論点分解の練習
新聞記事やエッセイを読み、その中の主張を分解して論点を整理する練習をしましょう。
2. 要約と再構築
過去問や参考書の模範解答を要約し、それをもとに自分の言葉で再構築してみると効果的です。
3. 書いた文章を読み返す
自分で書いた小論文を客観的に読み、「本論が論理的に展開できているか」「根拠が十分か」をチェックしてください。
最後に
小論文の本論は、「主張をどう支えるか」を具体的に示す重要な部分です。この記事で紹介したステップを参考に、論理的かつ説得力のある本論を構築できるように練習を積みましょう。
本論の完成度が高まれば、小論文全体の評価も大きく向上します。ぜひ挑戦を続けて、自信を持って試験に臨んでください!