私はこのプラットホームとボランティアで日本語を教えています。
ボランティア日本語(月3回、1回90分、ほぼ1対1)
以前、おかしな日本語を目にしました。日本語を教えている人の文です。
①「ランクインさせていただきました。」(何かにランクインした人が書いた文です。)
②「煮詰まった方に」(相談ごとのタイトルでした)
①ランクインを決める人たちとその対象になる人は別で違います。
「させていただく」は、相手に許可を求め、その許可が出たとき、許可を求めた人に恩恵がある場合に使いま
す。
①の文でランクインする人が許可を求める必要はありません。従って許可を得ての恩恵もありません。
「ランクインしました。」が適切な言い方です。
感謝や嬉しさを表したいのであれば「ランクインしました。ありがとうございます。」でしょう。
「させていただく」を使えば何でも丁寧なるという考えは、まだおかしいです。
ただ、テレビでもやたらそのような使い方が増えているのは事実です。おかしな風潮です。
「させていただく(症候群)」で検索すれば正しい答えがわかります。
「させていただく」が「させて頂く」(漢字)でないだけまだましですかね。
動詞のときは「頂く」OK 助動詞のときは「いただく」は、ひらがなが基本です。
ご飯を頂きました〇。 ご飯をいただきました。〇
許していただきました。〇 許して頂きました。✖ 「許して」➡「動詞、許す「の「て形」
教えていただきました〇 教えて頂きました✖ 「教えて」➡「動詞、教える」の「て形 」
(どちらかというとこれは日本語というよりビジネスマナー用語の問題でしょうか。)
助動詞のときは、ひらがなが原則です。(ただ、最近漢字で書く人が増えているのも事実です。)
10年後20年後は普通かもしれません。でも今はまだ無理があります。
日本語の先生が使うべきではないでしょう。教えるべきではないでしょう。
生徒は混乱します。ちょっと残念です。
もう一つは、
②「煮詰まった方(かた)に」(相談ごとのタイトルでした)
物理的には、料理などで固形物に水分を入れて程よい状態になった場合に使いますが、食べられないほどに
なった場合(悪い状況になった場合)も使うことはあります。(いい意味でも悪い意味でも使います。)
では、
仕事などの会議で「話が煮詰まりました」は、どういう意味になるでしょうか?
これは、結論がそろそろ出る状態になった場合に使うのがほとんどです。
「話も煮詰まったようですので、そろそろ決を採りましょう」などと使います。
ただ20代~30代では「生き詰まった」の意味で使うのも事実です。
「話が煮詰まったので、この件は後日再度話し合いたいと思います」のように使っています。
若い人は「行き詰まる」などの意味で使うことが当たり前と思っているようです。それも事実です。
問題は、これを外国人に教えるとき使えるかどうかということです。
年代別での客観的な使用頻度の調査などありませんが、
「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味だけで説明するのは、まだかなり無理があります。
「結論が出る状態で本来は使います。ただ、若い人は逆の意味で使いますので、注意しましょ.う」と説明すべ
きでしょう。
「日本人というだけで日本語の先生になれるわけではない」とよく言われるのがよくわかります。
私も完璧には程遠い日本語教師ですが、
気になった日本語は調べて、それをどういう風に外国人に言ったら説明したら
わかってもらえるかは常に意識しております。
疑問があったら調べる癖を習慣をつけております。
苦労して日本語教師の資格を取った先生の中には、言語交換のようなレッスンをしている先生を苦々しく思っ
ている先生もたくさんいるとよく聞きます。実際そうです。(思っていない先生もいるでしょうが。)
日本語を勉強する生徒は「楽しい、面白い、たくさん話すことができる、忙しいから短い(15分~20分)
レッスンでもいい」と言う生徒が多いのも事実です。ただ、それらの生徒にわかってほしい
のは「楽しいだけ、面白いだけ、たくさん話して嬉しかっただけの日本語レッスンは、流暢にはなりますが間
違いが多く上達が遅い」ということです。
趣味で日本語を勉強している生徒はこれで十分ですが、日本で働きたい日本企業で働きたい日本人相手に働
きい外国人にはお勧めできません。
日本人というだけの日本語の先生、日本語の資格を持っていない先生のレッスンは、疑問が残りますが
他の日本語の先生のレッスン確認は現実にはできません。フリートークばかり、しゃべるばかりのレッスンに
不満がある生徒もかなり多いです。
youtubeでほかのプラットホームの日本語レッスンを見たことがありますが、どれも疑問が残るものば
かりでした。
具体的には、「間違いの訂正なし、その間違いの理由説明なし、生徒より先生が日本語を話している、英語お
よび生徒の母語での説明が多すぎるなど」あります。(長時間レッスンです。)
N5,N4ならまだわかりますが、日本語のレッスンで英語ばかり使ってどうするんでしょうか。(外国のプ
ラットホームでした。)
カフェトークの英語の先生(英語ネイティブ)が、日本人の日本語教師に日本語を習ったとき、やたら英
語を使うので困ったと直接聞きました。
英語での日本語の表現、会話、説明等をかなり減らしてほしいと思ったそうですが、言えなかったそうです。
日本語もN2以上になればほとんど直説法の日本語で十分です。N5,N4などでは、どれくらい
英語および生徒の母語を使わないで上達させるかが腕の見せどころですが、それを知らない日本語の先生も多
いです。
私はボランティアでも月3回日本語を教えていますが、やはり資格なし、あっても経験不足の先生は多いで
す。資格ありの先生もいます。
N2以上の生徒に対してゆっくり日本語を話す先生(N2のリスニング力はかなり高いのを知らないです。)
教科書を読ませるだけで話すレッスンをしない先生(話す練習になりません。しないよりましですが。)
初級の生徒に敬語を使いながら話す先生、(初級の生徒、チンプンカンプンです。)
やたら長い文で話す先生、(文法説明などは単文、短文で話すが原則です。)
自分(先生)のほうが7~8割ぐらい話す先生、(生徒は話したくて話したくてたまらないです。小学校中学
校高校大学で経験した受身授業と同じです。)
(ボランティアの)日本語教師、残念な人が多いです。
私も以前はやっていたかもしれません。日本語の先生としてまだまだかもしれません。
でも、
難しい日本語、疑問に思った日本語、教えにくい日本語などはなるべく調べるようにしています。
そしてそれを「どのように易しい日本語で説明すると生徒がわかるか」をいつも考えています。
日本語の資格も就職試験で役立つくらいで、取ったから十分というものではありません。
取ってからが勝負です。
日本語の教育能力試験(合格率25%程度)、かなり難しい試験です。でも、勉強した内容、実際のレッスン
には8~9割がた必要ありません。文法ぐらいでしょう。
この試験は日本語の試験ではありますが、日本語を教える「教え方」の試験ではありません。
発音の問題は「発音記号」や「外国人の間違った発音がどこで起きているのかを口腔断面図で示せ」などが音
声を聞いたり、文章で書かれたりした問題がでます。
でも大事なのは、その間違いをどうやって直すかが大事です。
調音点がおかしいのか、調音法がおかしいのか。
どうやったらその間違いを直して早く「正しい発音、正しいアクセント、イントネーション」になるかが大事
ですが、試験にはこういった問題は出ません。
420時間日本語教師養成講座、これも日本語学校で教える先生の養成がメインですので、オンラインレッス
ンにはあまり向きません。ただ、文法文型の勉強の他、実習がありますのでその点はかなり評価できると思い
ます。(ただし1対複数なので、1対1がメインのオンラインレッスンとはかなり違います。)
日本語学校でキャリアを積んだ先生は、基本がわかっていますからかなり上手でしょう。
ただ、日本語学校で教えた先生がレッスン数を伸ばしているかというと伸ばしている先生と伸ばしていない
先生に分かれます。大きく分かれます。その差は何でしょう?
レッスン数もレッスン数が多いだけでは、いいかどうかあまりわからないことも多いでしょう。
「100レッスン達成しました。」「300レッスン達成しました。」「500レッスン達成しました。」
それ自体は一桁レッスンより素晴らしいです。でも結局、何時間教えたのですか?
100時間?300時間、500時間?
数より時間が問題です。先生自身ののキャリアアップのためにも「数」がより「時間」が大事でしょう。
日本語の先生は、生徒の将来を担っているぐらいの気持ちで教えてほしいですね。
もちろん、日本語(外国語も同じ)は、時代とともに変わっていきます。しかし、「今」を中心に考えて
正しいか正しくないかの確認は必要です。中途半端な気持ちでやっている先生は少ないと思いますが、
外国人の日本語のレベルを上げるレッスン、想像の何十倍も難しいですね。
完璧な日本語教師はいませんが、完璧を目指したいですね。
正しい日本語をソフトな日本語を日本人のように話しましょう。
「学習者」という言葉は使いません。