ボランティアで日本語を教えているとき、自分の教え方に疑問を持ったので420時間の日本語教師の講習を
受け、資格も取りました。今ではオンライン他で1500時間以上教えたので、ボランティアを始めたときよ
りはだいぶマシになったと思います。
3か月ほど前、日本語を教えたいという人が大量に(7人ほど)ボランティア日本語教室に来られました。
まったくの素人の日本語の先生です。正確には先生と言えないレベルです。(かつての私と同じです)
そこで、大学で日本語を教えている先生に依頼して、この方たち(経験2か月ぐらい)向けの日本語の教え方
の研修会が行われることになりました。
私も参加しました。 感想➡ちと残念。かなり残念。
参加対象 ボランティアで日本語を初めて教える日本人+既存の先生(資格あり数名) 合計20名ほど
講師 棒国立大学で日本語を教えている日本語教師
時間 90分×3回
内容での疑問
「に」と「へ」の違いの説明 場所+「に」+動詞 場所+「へ」+動詞➡さらっと流されました。???
「みんなの日本語」では、
場所+「へ」+動詞を5課で習います。 場所+「に」+動詞(18課他)
生徒(学習者)のみなさん、日本人の会話で「東京へ戻ります」と「東京に戻ります」、
「学校へ行きます」と「学校に行きます」、「韓国へ帰ります」と「韓国に帰ります」など
「に」と「へ」、どちらを多く耳にしますか(聞きますか)
会話文では、ほとんど「に」ですよね。「場所+に+動詞」は、みんなの日本語31課他で習います。
日本人がよく使う「に」が31課他で、あまり使わない「へ」が5課。
(あまり使わない「へ」は19課他でも出てきます。いろんな「に」が31課で出ます。)
この理由、大学の先生に説明してほしかったです。なぜあまり使わない「へ」が先なのか。「に」はずっと後
なのか。
「2時に学校に行きます」という文だと、時+「に」(18課他)と「場所+「に」(31課他)が混同さ
れます。
「に」が、一つの文で続くと初級前半の生徒が混乱するため、「へ」をあえて先に多用すると是非説明してほ
しかったですね。
ボランティアの新人の日本語の先生は、「へ」と「に」のどちらを使って教えるでしょうか。
「へ」フォーマル、方向方角、書き言葉
「に」カジュアル、目的地が決まっている場合、話し言葉
(どちらも例外あり、100対0、0対100はない)
「あります、います」などは、「へ」が使えない。
「東京ディズニーランドは千葉県にあります〇」 「東京ディズニーランドは千葉県へあります×」
「そこに人がいます〇」 「そこへ人がいます×」
これくらい教えてほしかったですね。ほんとに。
疑問「い形容詞」と『な形容詞」(8課他)
一般的に「い形容詞」『な形容詞」の順で列記されます。
では、教える場合どちらが先でしょうか?
日本人の立場から言うと、「い形容詞」(形容詞)、「な形容詞」(形容動詞)の順でしょう。
生徒の立場から見るとどうでしょうか?
生徒の立場からすると最初に「な形容詞」を習って、次に「い形容詞」を習うほうがいいと言われています。
何故か?
日本語学校で教えた経験のあるオンラインの先生は当然わかると思います。
日本語教育能力試験だけで資格を取ったオンラインの先生はわからないと思います。
(経験豊富な先生、よく勉強している先生は別です)
みんなの日本語2課では、
「これはつくえです」「これはほんです」「これはしんぶんです」などが出てきます。
これは、物(名詞)を指示して言う表現方法の肯定文です。
否定形、疑問文などに応用するわけですが、問題は否定形です。
上の3つの文の否定形は
「これはつくえじゃありません」「これはほんじゃありません」「これはしんぶんじゃありません」です。
「な形容詞」の否定形
「きれいな➡きれいじゃありません」「素敵な➡素敵じゃありません」「元気な➡元気じゃありません」で
す。
つまりこの場合、「名詞」と「な形容詞」の否定文は、同じ「じゃありません」を付けることで成立します。
な形容詞の否定形を勉強するとき、2課で「名詞」+「じゃありません」を勉強している生徒は、すんなり頭
に入り易いということです。ここが重要ポイントです。
そして、その後「い形容詞」
「優しい、楽しい、嬉しい、おもしろい」など➡「い」を取って「くない(です)」を付けると教えます。
日本人目線では「い形容詞」でも「な形容詞」でもいいように感じますが、
日本語初級の生徒目線から見ると、「な形容詞」から教えたほうがいい理由はここにあります。
実際、みんなの日本語では、「な形容詞」から始まっています。(8課)
疑問「あげる、もらう、くれる」の授受動詞➡補助動詞の例文を挙げただけの説明???
「教えてもらう」だけ???
ボランティアではこの授受動詞3つを一度に教える先生が多いです。
「おかしをあげる」「プレゼントをもらう」「お金をくれる」など(動詞)
でも「あげる、もらう」 と「くれる」は別に教える方がいいと言われています。(これ大事です)
「あげる、もらう」は「あげもらい」といって、みんなの日本語では7課で習います。
「くれる」は、ずっと後の24課です。 24課では、動詞の「くれる」及び補助動詞(あげる、もらう、く
れる)が出てきます。
7課と24課、どうしてこんなに離れているのでしょうか。それは「くれる」が難しいからです。
「くれる」は内と外の関係の「内(うち)」、つまり自分及び自分に近い親、子ども、兄弟などに限
定されるからです。例文をあげると長くなりますので割愛しますが、
せめて大学の先生には、「あげる、もらう」と「くれる」は、分けて教えた方が初級の生徒には分かり易いと
言ってほしかったです。
「あげる」「くれる」はgive、「もらう」はreceive、get 対象となる人に使う動詞です。
これに、主語が自分(一人称)になるか、相手(二人称)になるか、三人称になるかが絡むと、「何が何や
ら」となります。
お菓子を「あげる、もらう、くれる」は動詞ですが、
「教えてあげる、許してもらう、助けてくれる」の「あげる、もらう、くれる」は補助動詞になります。
「教えて」「許して」「助けて」が動詞です。
「教えます、許します、助けます」の「て形」+補助動詞という繋がり(つながり)です。
これも授受動詞と補助動詞の違い、「くれる」は、意外と難しいことぐらい言ってほしかったです。
助詞の「は」と「が」の違い
「は」は副助詞、「が」は格助詞との説明でした。
正解ではありますが、???
副助詞という言葉は、小学校、中学校、高校など学校教育で教える「国語」で教えるとき使います。
日本語を外国人に教える場合は、副助詞ではなく、「取り立て助詞」と言います。
(この「取り立て助詞、副助詞」は、生徒のみなさんは覚える必要がありません。)
さらにその先生、助詞の「は」と「が」の違いを外国人に教えることができない、説明できないと言われまし
た。(多少はできるようでしたが、複雑だと思われているようでした。)
大学で日本語を教えている先生が、助詞の「は」と「が」の違いが教えられない!
確かに、「は」と「が」の違いは難しいです。
でも大学で大学で大学で日本語を外国人に教えている先生が、「は」と「が」の違いが教えられない。
正直、日本語の先生失格と思います。
私は「は」と「が」の違い、簡単に教えることができます。
ただ、このことだけでこの大学の先生が無能で、私が有能というわけではありません。
日本語の教え方の他の分野では逆も十分あり得ますから。
私が教えられないことを、この大学の先生が教えられることもたくさんあるでしょう。
ただ、「は」と「が」の違いは、日本語教師の力量を図る一つになりますから、身に付けておいた方がいいで
しょう。(ボランティアの日本語の先生(資格なしの場合)にこれを求めるのは酷でしょう)
生徒のみなさん、先生に質問しましょう。
助詞の「は」と「が」の違い、教えてくださいと。
「大学(院)、日本語学校」 と 「オンライン、ボランティア」の違い
1対複数 (10人20人あり) 1対1(例外あり)
会話少ない 会話多い
直接法(日本語のみ) 直接法と間接法 N5,N4初級クラス
(外国の場合、英語およびその国の言語) 直接法N1、N2上級クラス
生徒まじめに来る 生徒まじめに来ない、すぐやめる(例外あり)
教科書決まっている 教科書ばらばら
長文、ご容赦ください。
みんなの日本語の「課」は、一部重複、一部間違いがあるかもしれません。(私の確認は不十分です)