いろんな先生がいますね。いろんな日本語教師がいますね。生徒の皆さん、困りませんか?
先日、「助詞には意思はありません。」という文を見ました。ぎょぎょ。こんなこと平気で言われると生徒の
みなさんは、迷ってしまいますよね。グーグルで確認しましょう。
「を」「に」「は」「が」「と」「へ」などの助詞には意思はありません。
意味はありますが、意思はありません。意味も文によって変わります。
それに対して動詞は? 「動き」を表す「動詞」は、意思があります。従って「動詞だけ」で会話が成り立ち
ます。助詞の「を」で文が成り立つでしょうか?比べましょう。
設定
二人の人が公園にいます。田中さんと山田さんがいます。知合いです。田中さんはお菓子を持っています。
山田さんは、田中さんのお菓子を見て食べたそうにしています。
助詞「を」の場合
田中さん「を?」➡山田さん「?」
田中さん「は?」➡山田さん「??」
田中さん「と?」➡山田さん「???」
意味通じませんね。何を言いたいのかこれでわかりますか?わかりません。
話し手の意思がわからない、聞き手の意思もわからないからです。
「助詞」では、会話が成り立ちません。
動詞「食べます、食べる」で、文が成り立つか?
田中さん「食べる?」➡山田さん「(うん、)食べる。」
田中さん「食べます?」➡山田さん「(いいんですか?)食べます。」
田中さん「食べたい?」➡山田さん「食べた~い」
動詞の「食べる、食べます」だけで会話が成り立ちます。意思が確認できるから、意味が通じます。会話OK
です。
さて、
意思を表す動詞➡意思動詞(見る、食べる、読む、書く、聞くなど)という言葉があります。
意思を表さない動詞➡無意志動詞(泣く、笑う、怒る、流れるなど)という言葉があります。
(意志動詞、無意志動詞などを含む、〇〇動詞というのは、日本語学の世界の中で使われる言葉なので日本語
を勉強する生徒のみなさんには、馴染み(なじみ)がないと思います。覚える必要はありません。)
(他に継続動詞、瞬間動詞、補助動詞などいろいろあります。)
「自動詞、他動詞」は、よく出てきますので覚えましょう。
さて、意思動詞って何でしょうか。意思ってなんでしょうか。漢字圏のみなさんはわかると思います。
意思とは、分かり易く言うとこの場合は「自分で決められる、こと、言葉、 人の気持ちで決められる、こ
と、言葉」で、品詞では動詞がこれにあたります。
(意思動詞、無意志動詞)という言葉は、日本語教育の中にはありますが普通の日常では使いません。
でもその意味内容は理解する必要があります。
意思動詞(見る、食べる、読む)など
例文
田中さんはテレビを見ていました。
(私は)昨日ラーメンを食べました。
あの人はいつも本を読んでいます。
自分で決められるのが動詞です。人の気持ちで決められるのが動詞です。➡意思、気持ちがあります。➡意志
動詞
無意志動詞(泣く、笑う、流れる、疲れる)など
例文
田中さんは泣いています。
(ドラえもんを見て)子供が笑った。
先生が怒りました。(生徒が騒いでいたのでしょう)
水は(上から下へ)流れます。
上の4つの動詞文、自分が、人が、決められますか?
感情はありますが意思はありません。自分の意思で「泣く、笑う、怒る、流れる」ことなどできません。
俳優が演技で泣くこと、笑うことはできますが、普通はできません。
自分でできるかできないかで考えると、意思動詞と無意志動詞の違い、すぐわかると思います。
他にも意志動詞、無意志動詞はたくさんあります。例文でたくさん覚えましょう。できれば、前後の文や文
脈を見て理解して覚えましょう。日本語は、同じ文でも文脈、前後の文、口語文では抑揚、口調などで
意味が変わることがよくあります。
意味が変わる可能性がりますので、答えは一つと思い込まないようにしましょう。
日本語以外もそうでしょうが、日本語は、特に注意しましょう。
意思がない無意志動詞は、主語に意思がない言葉(人など)が多く来ます。(例外も多くあります)
どちらも使えるということです。
自動詞、他動詞。これは英語にもありますね。日本語にとっても英語にとっても自動詞、他動詞の違いは大事
です。
自動詞の場合、主語には意思を表すことができない言葉が多く来ます。➡ドアが開いた。窓が割れた。
例外も多くあります➡犬が吠えた。子供が泣いた。人が走っている。
自動詞と他動詞も文になると文脈、前後の文などの影響でいろいろな意味になりますので注意しましょう。
決めつけるのはよくないです。何でも例外があることを常に頭に入れておきましょう。
思い込みは危険です。
日本語の場合
自動詞とは【主語(S)」と「述語動詞(V)」で完成する文】です。 簡単です。覚えましょう。
他動詞とは、【「主語(S)」と「目的語(O)+助詞の(を)」と「述語動詞(V)」】で完成する文で
す。
S+O+V➡主語は、人や動物などが多くなります。動詞は他動詞になります。主語が、目的語に対して動詞で
影響するわけですから。 これも例外があります。
例文
山田さんはラジオを聞いていました。
(私は)お菓子を食べました。
あの人はいつも本を読んでいます。
例外➡ボールが人の頭を直撃した(主語が物)
また、
感情(楽しい、悲しい、きれいな、不安な、便利な)、感覚を表す(かゆい、だるい)などの形容詞にも
「意思」はありません。意味はあります。注意しましょう。
名詞は小説などでは、物が擬人化されて意思、気持ちが入ることがよくありますが、そのときも意思は動詞に
入ります。。小説以外でもあります。
日本語の先生には、分かり易く説明してくださいと言いましょう。例外はないんですかと聞きましょう。
日本語は、主語や目的語がよく抜けます。そのため、わかりにくくなります。同じ文でも、文脈によって
意味が変わることが多くなります。注意しましょう。
最後によく質問される
見ます と 見えます の違い 聞きます と 聞こえます の違いについて
意志動詞無意志動詞で見分けますか? 自動詞他動詞で見分けますか?
どちらが分かり易いでしょうか?
見ます➡意志動詞(意志があります)、意思がある➡そして他動詞
見えます➡無意志動詞(意思はありません)➡そして意思がない自動詞
テレビ(番組)を見ました。➡見たいから見ました。(自分の気持ち、意思があります)
(たまたま)空を見上げたら、星が見えました。(自分の気持ち、意思はありません)
「見上げる」➡上の文の場合、意思はないと考えるのが妥当でしょう。
ただ、「星が見たい、星を見よう」と思って空を見上げた場合、この「見あげる」には、意思があると言えま
す。(これが、文脈で判断するということです)
スマホで音楽を聞いています(聴いています)➡聞きたいという意思、気持ちがあります➡意志動詞
うるさい音が聞こえます(近くで工事しているのでしょう)➡聞きたいという意思、気持ちはありません➡
無意志動詞
これらの質問に関しては、「意思動詞、無意志動詞」で考える方が分かり易いと思います。
そして「結果的に自動詞になります、他動詞になります」と考えた方が分かり易いと思いますが、みなさんは
どちらのタイプでしょう。賛否両論あるかもしれません。
日本語、難しいですね。教える方も教わる方も。
文で覚える➡文で覚えても意味が変わる場合がある、例外がある➡文脈、前後の文で判断する
日本語を勉強しているみなさん、たくさん日本語を聞いて、読んで確認しましょう。
分からなかったら日本語教師に聞きましょう。
質問攻めにしましょう。
(昨日のレッスンでも答えられない質問がありました。私、情けなかったです。私も
勉強が足りないですね、修行が足りないですね。はい、確認確認。)
でも、難しい質問が来るということは、先生にとって有難いことでもあります。
絶対調べますから、確認しますから。
日本語を勉強しているみなさんは、分からなかったら日本語教師に聞く。
日本語教師は、答えられなかったら調べて確認する。
日本語の勉強エンドレスですね。