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日本語から気づく教科書の恵み

Montag, 6. März 2023, 13:44

先日、都内の某駅構内を歩いていたら「税についての作文」の優秀作品が掲示されていて、
その中の「日本語から気づく教科書の恵み」という表題が目に留まり、
思わず足を止めて読んでしまいました。
 
都内の中学3年生が書いたそうです。素晴らしい作品だと思います。
日本橋税務署に問い合わせたところ、転記可だったので以下記載します。
 
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「日本語から気づく教科書の恵み」
 
「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって、無償で支給されています。大切に使いましょう。」
 教科書の裏表紙に書かれているこの言葉を、私は小学校の頃から目に焼き付けてきた。
 私は八歳のとき、中国から日本にやってきた。最初は歴史上の出来事もあり、正直心の中は複雑だった。日本に来た私は言語学校や中国人学校に通うことなく、すぐ現地の小学校に編成入学した。 授業は、数学だけ中国で先取り勉強の教育を受けていたので、辛うじてついていくことができたが、国語や道徳などの授業はただ苦痛でしかなかった。見知らぬ環境、見知らぬ言語、見知らぬ人間関係。心が折れる思いでした。そんなとき、当時の担任の先生が母に、二カ月間私に日本語を教えてくれる先生が週に一回来ることを伝えた。
 私はそのときびっくりした。日本という国にはこのような施策があることを私は知らなかった。しかし、幼かった私はお金がかかるだろうなと思って母に聞いた。
すると、「かからないんだって。税金で賄われているから無料なのよ。」そのときの驚きを私は今でもはっきりと覚えている。そこから二ヵ月が経ち、その先生の教え、私の努力が叶ったのか、気がついた頃には日本語を理解し話せるようになった。
 学校のみんなと同じように授業を受けられるようになり、 私は「税金」という言葉に敏感になってきた。 そしてある日、私は気づいた。教科書の裏表紙に書かれているこの言葉に。日本語が分からなかった頃、漢字でおおまかな意味を推測し理解していたが、日本語が分かるようになってからはこの言葉に違う重みを感じた。
 私が今、日本語を理解し無償で教科書を使い授業を受けられているのは、税金があるおかげだ。日本人にとって日本語を話すことはあたりまえのことかもしれない。しかし、私のような外国人にとって、日本語を話すことができるということだけが、日本人の輪に入る手段である。税金について、多くの人は必要だと思っていながらネガティブな考えをもっている。しかし、税金によって救える人が沢山いることを忘れてはならない。
 教科書に書かれている言葉のように、私たちがあたりまえのものだと思っていたことの裏には税金の支えがあって成り立っている。だからこそあたりまえの生活を一日一日大切に過ごさなければならない。無料に教科書を使えていることに恵みを感じなければいけない。  
 私は今年、受験という人生の分かれ道に立っている。自分の将来を自分で決める機会を手に入れている。これからがどうなるかは分からない。しかし、それでも私は自分のゆく道につき進みたい。日本語から気づいた教科書の恵みと共に。
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尚、文科省の「帰国・外国人児童生徒等に対する文部科学省の施策について」に以下の記載があります。
 「外国人がその保護する子を公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合には、
  無償で受入れており、教科書の無償給与や就学援助を含め、日本人と同一の教育を受ける機会を
  保障している。」

私も納税者の一人として、節税できたらいいなと思うことはあります。
しかしそれよりも大事なことは、日本語を教える一人の人間として、
少子化まっしぐらの日本で
自分が払った税金がどう使われているのか、
政治・政策にもっと関心を持ち考えることであると、この作文によって気づかされました。

<今日の日本語教育関連プチ情報>
上記「外国人がその保護する子を ~ 日本人と同一の教育を受ける機会を保障している。」
関する内容が、令和4年度日本語教育能力検定試験 試験3-問題16-問3 に出題されました。
試験内容の記載はできないので、興味がある方は4月頃に発売される試験問題をご確認下さい。

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