今日は、「青い眼が欲しい」について書きます。
トニ・モリスンの「青い眼が欲しい」の中で、語り手のクローディアはクリスマスプレゼントで貰った人形をバラバラに分解して、大人達に叱られます。人形は社会が「美しい」としている容姿ですが、クローディアは『皆が美しいという物の内部を自分の目で確かめよう』とします。人形の中にはクローディアが素敵だと思えるものは、何も見つかりませんでした。
一方、ピコーラは当時社会が「美しい」としていた、シャーリー・テンプルに夢中になります。
クローディアは社会の美の基準をそのまま受け入れることは『adjustment without improvement』だ、と語る箇所があります。
この小説では「人形」は、当時のアメリカ社会の支配的な構造や意識を暗に示しますが、クローディアはそれを自分の手で壊して中身を確かめて、『取るに足らないもの』と言います。反対に、ピコーラは、このアメリカ社会の構造に飲み込まれてしまいます。
Kyoko