※「レッスンの余白」は、わたしが日本語教師をする中で感じたこと、思ったことをお伝えするコラムです。
なぜ日本語教師になったの?とよく聞かれます。
いくつか理由(りゆう)がありますが、
ひとつは私の大学教師時代の経験(けいけん)です。
私が大学で担当していた授業に
1年生の「入門演習(にゅうもんえんしゅう)」という授業がありました。
大学に入ったばかりの1年生に、
大学での勉強のしかたやレポートの書き方を教える授業です。
ある年、この授業に、中国からの留学生がいました。
彼女は、頭もよく、やる気もあるのですが、
日本語の読み書きはできても、日本語のコミュニケーションが苦手でした。
幸(さいわ)い私の授業は一生懸命(いっしょうけんめい)勉強して
単位(たんい)を取りましたが、
その後、ほかの授業についていけなくて、卒業することがむずかしくなりました。
留学ビザが切れるので、大学の事務(じむ)の皆さんと
入国管理局(にゅうこくかんりきょく)(今の出入国在留管理庁)に
ビザの延長(えんちょう)をお願いしましたが、
延長(えんちょう)はむずかしく、
結局(けっきょく)国に帰らなければならなくなりました。
私はその時、私が「日本語のコミュニケーション」を
教えることができていたら、
彼女を救(すく)えたかもしれなかったと思いました。
大学をやめた後、日本語教師の勉強を始めた理由(りゆう)のひとつです。
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KOBA
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