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籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)

Понедельник, 26 Октябрь 2015 r. 16:41


今月のシネマ歌舞伎は籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)です。

亡くなった中村勘三郎さん、坂東玉三郎さん、片岡仁左衛門さん、今の勘九郎さん、といった豪華な顔ぶれで、これまでこのコラムでご紹介したものよりも、いかにも歌舞伎らしい舞台の映画です。

まずはスガガキ(注1)で幕が開き、舞台は江戸吉原(注2)。
そこに繰り広げられる花魁とお客のお話です。

劇中、長唄の『吉原雀』が時折効果的に演奏されますが、この『吉原雀』の歌詞に
♪女郎の誠と卵の四角あれば晦日に月も出る♪(注3)
と歌われているように、お客は吉原での恋愛は偽り事と 割り切っていることなのですが、
そこは男女の事。時には割り切れない人達もあったようで、
もめ事になることもあったようです。

手元の資料によると、吉原であった実際の話を芝居に仕立てたということです。

吉原で遊ぶ為の慣例がいろいろあって、それに沿えないお客は『野暮』となりますが、
主人公のお客『佐野次郎左衛門』はそう呼ばれないようにと、きちんと手順を踏んで、
一目惚れした花魁『八ツ橋』の上客となります。
ところが、
『八ツ橋』には『繁山栄之丞』 という間夫(注4)があり、
話がもつれて、悲劇となります。

歌舞伎は『様式美』で演じる役者は型にのっとって演じるわけですが、
シネマ歌舞伎で間直に役者さんたちの表情が映し出されて圧倒されます。
特に勘三郎・勘九郎親子が主従を演じていて、口惜しさや怒りで涙する場面では、
涙をボロボロとこぼし、鼻水を流して熱演しています。

また、 舞台音楽も三味の音(ね)を効果的に聴かせてくれて、
いかにも歌舞伎らしい雰囲気を楽しめます。

映画の場面だけでは何故 籠釣瓶・・・ の題名が付いているかと言うのはわかり難いことですが、ラストシーンに影響するのでここではお知らせしません。
※由来を知りたいという方はメールくださればお知らせいたしますよ。 

全国松竹系劇場で10月30日(金)まで

注(1) スガガキ⇒廓の場面に使われる シャンラン・シャンラン・・・ と繰り返す。
注(2) 江戸吉原⇒江戸幕府公認の遊郭。
注(3) ♪女郎の誠と卵の四角あれば晦日に月も出る♪⇒四角い卵がないように遊郭の女郎衆の言葉に誠はないとのたとえ。
 注(4) 間夫⇒お客とは別に遊女が本心から情を通わす男性のこと。実は間夫と言って何人も手玉に取ることもあった、『貴方だけに』と言う『誓詞』も実は何枚もあったとか。



 


 

 


 

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