少し肌寒いロンバルディア州から、チャオ〜♪ です。
8月前半までイタリアを覆っていた猛暑は10日程前からナリを潜め、ここ2、3日「秋?」という気温が続いています。
さて、前回のコラムの続きです。
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年月が経ち過ぎていて、思い出すのに苦労しました...。
音楽学校では、共通語はもちろんイタリア語ですので、ここでも当然毎日イタリア語に揉まれました。イタリアでは、先生でも生徒に「Lei」ではなく、「tu」を使わせる人が多いのですが、私の専科の先生は、先生ご自身が誰にでも「Lei」を使う方だったので、早くも「Lei」と「tu」の使い分けを実践で身につけることが出来ました。
毎日イタリア語の洪水に浸かっているからとはいえ、単語力はまだまだありません。この時期、英語の方がまだ得意だったので、「英語から覚えるイタリア語単語」(野里紳一郎/白崎容子両氏著・創拓社出版)で基礎単語を学習。また、ちょうど10月から漫画「めぞん一刻」のイタリア語版が毎月始めに1巻ずつ新聞スタンドに出されるようになり、それを購入、会話の語彙を広げるのに役立てました。
人との会話中に出てきたわからない単語を書き留める手帳の携帯も、もちろん続けました。聞き取った単語に自信が無かったときは、カタカナで記しています。今見返してみて、「こんな単語も知らずに、よくイタリアに来たわねえ〜っ」とビックリします。
語彙に関しては以上のような取り組みでした。しかし、会話が成立する文章を喋れないといけません。9月の1ヶ月で、大分喋れるようになったとはいえ、つっかえることなく喋れるようにはなったわけではありませんでした。変なところでフレーズが途切れてしまったり、アクセントの位置が違っていたり...。そこで、今度は参考書や語学学校での教科書、プリントに書かれている文章に、どこにアクセントを持ってくるか、どの語尾と語頭を殆どくっつけて発音するかなどの印を入れ、片っ端から音読練習しました。
何か特別な工夫は一切していません。本業の音楽の方が忙しくて、そこまで考えられなかったのでしょう。
しかし、これらの面倒で地道な勉強は、やはりチとなりニクとなりました。学校のイタリア人友達の助けも大きかったと思います。間違うたびにキチンと指摘して直してくれましたし。(友達でなくても、新聞スタンドのおっちゃんおばちゃんまでもが間違いを指摘してくれることが多かったです。世話好きなイタリア人たち・笑)
これらの事が功を成し、12月初頭には殆ど不自由を感じないイタリア生活を送れるようになりました。音楽学校でも、「キチンと喋れる日本人」として扱ってもらえ、ちょっと鼻高々だったと思います。しかし、「キチンと喋れる」が故に、友達とのイタリア語会話は、内容がより複雑になり、耳に入る単語も一層難しいものになってきました。
ここで、私のイタリア語学習における第2の挫折を味わったのでした。
友達との会話は、既に基礎単語集ではカバーしきれないところに来ていたのでしょう。
聞き取りは出来るのに、話している内容がサッパリわからないのです。
一生懸命勉強しているつもりなのに、また新たに、人々の会話に対応しきれなくなり、本当に本当に落ち込みました。
とその時。そんな私にイタリア語上達のための絶好の機会が。
同居人と喧嘩をして追い出されたソプラノ歌手Rさんが、次の家を見つける間私の家に間借りしにきたのです(当時私は既に一人暮らしをしていました)。
彼女はイタリア人。
外国人同士で生活するのとはワケが違います。
イタリア人が使う生のイタリア語に毎日接するのですから。
Rさんは、根気よく私と話をし、間違いも正してくれましたし、また歌手だからでしょう。発音も大変厳しく教えてくれました。時には、イタリア語特有の言い回しも教えてくれました。ただ、彼女はS.Giorgio a Cremano(※) という、Napoli 郊外の出身者だったので、まだまだ初心者だった私は、思い切り彼女の影響を受け、「ミラノで生活しているのに、ナポリ訛りの混じった変な日本人」になってしまいました(笑)。
しかし、彼女のお陰で映画館デビューも出来(話の内容が全てわからなかったとしても)、イタリア人の一般的な生活も味わえ(料理もたくさん教えてくれました)、彼女との1ヶ月半の同居生活はとても有意義で、楽しかったです。今の私の土台を作ってくれた1人として、本当に感謝しています。
さて、Rさんが家を見つけて、また一人暮らしに戻ってからは、再び語学学校に通い出しました。
この語学学校が...なんかすごかったです(笑)。
これはまたコラムにしてみたいと思います。
今でもイタリア語の勉強は全然終わりませーんっ。
努力無しでスラスラ新しい単語を覚えたいです!
CILSのC2に受かったからとて、知らない単語は世の中に溢れています!
あああああっ、もうイヤって言いたいけど、こちらで教えているからそうも言えない...(最後に本音を暴露)は〜〜〜〜〜(溜息です)
少し長くなりましたが、最後まで読んで下さってありがとうございました。
※S.Giorgio a Cremano は、「Il postino」で主役を演じた Massimo Troisi の出身地です。彼は日本ではほぼこれ1本で知られていますが、実はイタリアでは偉大な喜劇俳優です。大笑い出来る映画がたくさんです^^
例えば、こちらは「La vita è bella」でオスカーを獲ったRoberto Benigni と共演の「Non ci resta che piangere」のワンシーン。