僕はギターが好きで(昔はもっと真剣に勉強していました!)、今でもYouTubeでギタリストの映像漁りを良くしています。最近またアコギを手に入れたので(以前こちらの映像で披露しました)またアコースティック熱が出てきました。
さて、まだ以前ギターが大好きだった頃に(普段聞いていたジャズとはジャンルの異なる)Tommy Emmanuelというギタリストの音楽を一時期ずっと聴いていたことがありました。超絶技巧という表現、陳腐だがしかし他に言葉が見当たらないほどその呼称がふさわしい人です。ギターで超絶技巧、というとどうしても単音をどれだけ速弾きできるかに注目が集まりますが彼はすごいのはそれ(だけ)ではなく複雑なコード、物理的に不可能とも思えるボイシング、そしてそれらを駆使して音楽性を表現しているところにあるのではないかと思います。時々やりすぎて聞いている側としてはお腹いっぱいになってしまうことがあるのですが。
超人ギタリストだけありやはりどなたもTommyってどんな練習しているのだろう?と気になるのでしょう。そんな疑問をツアー中の彼に突撃インタビューした映像を見つけました。
冒頭でインタビュアーが
記者:きっと週に3・4回ライブをされてらっしゃると思うのですが・・・
Tommy:うん、もっとかな。
記者:練習はされるのですか?
Tommy:もちろん。今日も午前中ずっと練習していたよ。
記者:どういった練習を?
Tommy:(間髪入れず、ほぼ苛立った様子で)曲を弾くのさ。自分が楽しいと思うことを練習する。過去に耳にした楽曲などを改めてアレンジしたり・・・(少し考えて)そして時には運指の練習だけを1時間ぶっ続けで・・・(実際にギターで弾き始める)
中略
映像1:10辺り
記者:何か筋力トレーニング用に道具を使われたりとかは?
Tommy:全く使わないよ。そんなものには全く興味がない。僕が興味あるのは(ギターに両手を置き)「これ」だけ。そして指をどう動かして自分がやりたいことを表現できるか。(Over the Rainbowの演奏で使ったテクニックを披露する)こういった演奏は音の明瞭さがすごく大切なんだ。
もう一人の記者:じゃあそういった事ができるのに一体何時間ほどかかるのですか?
Tommy:うん、自分でもまだ発見している途中なんだよ(以下略)。
→ この発言で記者の質問に全く答えていないことに気づきますでしょうか?これは僕の憶測ですがTommyにとって~時間費やしたら~テクニックができるようになる、といった質問はナンセンス以外の何物でもないのでしょう。
ギター演奏以外のことで演奏技術向上の練習をしない、というところも僕は非常に共感できます(これが英会話学習の何に当たるか想像できますでしょうか)。
そういったことが問題ではない、出来るようになるまでやり、出来るようになったらそれが維持できるよう必要なだけ練習する。
前置きが長くなりました。僕は英会話も共通する点があると考えています。よく初めてお会いする生徒さんに「もう~年も英語学習をしています」と伝えられることがあります。ただその情報はその生徒さんの英会話力を計る指標に全くならない。単語をボソボソっと10分ほど音読するのを毎日続けて3年なのか、毎日休む間もなく、それこそ三度の食事も惜しんで英会話に没頭して3年なのか?同じだけの日数ですが費やした時間の量はもちろん質も全く異なることがおわかりになりますでしょうか?
ですからよく英会話学校の広告で
たった~ヶ月でこんなに話せるようになりました!
といった触れ込みを見ますが(現在インドネシア在住なので今は実際目にしないですが笑)、皆さんにはああいったものをあてにしないでいただきたいと思います。そうではなく自分が今何をしているのか(「どれだけ=量」、だけでなく「何」、も)、そしてそれが自分が目指している目標に近づくのに実際に役立っているのか?これらが実現できれば上達はそれこそ時間の問題なのではないでしょうか。