三味線は大まかに三つの部分から構成されています。
上から 天神 棹 胴 となります。
今日は一番下の部分 胴(どう) について。
この胴 の部分 は木枠に動物の皮が貼られて太鼓のようになっています。中には棹の延長で中子と呼ばれる棒状の物が通っています。
(通常は裏表とも皮を貼ってあるので普段は中は見えません)
※胴の画像は三味線駒吉さんからお借りしました。
演奏するときはこの胴の木枠の部分を右腿にのせて右手首と肘の間で押さえるようにして楽器を安定させます。
木枠の内側に模様が見えますね。杉彩(すぎあや)といいます。この杉彩が細かく彫ってあるものが良い響きを生みだすと言われていて、お稽古用のものはこの彫刻がない物もあります。
長唄三味線の場合、舞台用には 四ツ(よつ)と呼ばれる猫の皮を貼ります。
(乳の跡が四つつくことからこう呼ばれます)
稽古用には 犬皮(けんぴ)を貼るのが一般的です。
(犬皮の物にも四つ印が付いていますが、これは四つに似せて後からつけたものです)
※皮を貼るのは専門の器具と技術を持っている三味線職人さん にお願いします。
イギリス人の知人にこの皮の事を話したところ とても驚かれました。
『君は猫を可愛がっているんだよね?』
現代ではありえないことかもしれませんが、伝統楽器なので・・・・
実はこの皮問題はいろいろ悩ましいところがあって、以前から代わりの物が模索されていました。
動物の皮というところが悩ましいところなので、プラスチックの合皮も開発されましたが、音色はまったくの別物になってしまいます。 そこで試行錯誤が繰り返され、最近では羊やカンガルーの皮が有力となりました。まだ一般には普及していませんが、将来的には 三味線=猫の皮 ではなくなることでしょう。
胴の中を通っている中子は先が外へ出ていて中子先と呼ばれます。
この中子先に 音緒(ねお) という絹の組みひも で作られたパーツを掛けて、三本の糸(絃)を結びつけて上部の糸巻まで通して糸を張ります。
右腕がのる胴枠の部分には 楽器の保護と腕が滑らないようにするため胴かけ・胴ゴムを付けます。
胴かけには両端に絹の組み紐が付いているので、中子先と棹の根元部分(鳩胸)の元に結びつけます。
糸(絃)を張ったら音緒近くに 駒(こま)を差し込みます。
駒には三か所溝が付けてあって、それぞれに糸をのせます。
こうして張った糸を持上げることで皮から離れ音が響くようになっています。
長唄用の駒の材料は象牙です。お稽古用には舎利やプラスチックが使われます。
(曲のジャンルによって使われる駒の形・材料は違います。 )
皮と同様 象牙材 というのも悩ましいところですね。輸出入は禁じられています。
実は、棹に使われている紅木(こうぎ)という材料も輸入品なのですが、近年過度の伐採などが問題となり、材材料調達が難しくなっているそうです。
材料には問題あり、専門の技術を持った三味線職人さん・付属品の職人さんも減少しているし、昔ながらの楽器の存続はとても大変な状況です。
将来的には全て違う材料で作られ、音色は今の三味線とは違うものになることでしょう。
そんな中、和楽器界でちょっとした話題のこちらの記事をご紹介。
ーMASAKOー