もう40年くらい前の私が学生だった時の話である。
大学の友人の下宿へ遊び行った帰り、立教大学の近くのなんでもない喫茶店に友人と入った。コーヒーを注文して、いつものようにくだらない話をしていた。コーヒーが来て、なんとも思わずにカップに口を付けた。「うまい!」。そのコーヒーはそれまで飲んだ中で、間違いなくいちばんうまかった。友人に聞くと、やはり「うまい。うまい。」と言っていた。「水が合う。」というが、「コーヒーが合った。」というべきであろうか。至福のひと時であった。
実は、私が大学受験の時、立教の合格発表は早く、早稲田のずっと前だった。そこで立教に入学金を払い、行くつもりになっていた。ところが、早稲田が拾ってくれたのでそこへ行き、友人と会ったのである。
友人も立教に行くつもりだったので、立教の近くの下宿を見つけたということだった。