月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり。―おくのほそ道
芭蕉は、門人の曽良を伴って、江戸から奥州、北陸道を巡った。
旅に出た時の芭蕉は、46歳というから、当時としてはかなりの高齢であった。
芭蕉の覚悟がうかがえる。
さて、旅人、芭蕉はどこへ向かったのであろうか。
おくのほそ道の旅は、江戸から奥州という空間的な旅であるっともに、歌枕の地を巡る旅でもあった。
先人の歌に詠まれた名所旧跡をたどる旅は、時間の旅でもあったのではなかったか。
時とともに移り変わる無常の世界を切り取って見せる芭蕉の俳句は空間も時間も超える。
肉体的に衰えを見せ始めても、旅を続けていた芭蕉は、とうとう旅先の大阪で没した。
しかし、芭蕉の言葉は、私たちの目の前にあり、時空を超えて旅を続けている。