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Cafetalk Tutor's Column

Tutor Keisuke.H 's Column

I was a bocchi.50 爆走男アンチャン

2024-11-10

中学生になって、初めて同じクラスになる人がたくさんいて、
僕にはそれがどこか不思議な感覚だった。
小学校では2年に1度しかクラス替えがなかったから、
なんとなく新鮮で、少しだけ胸が高鳴った。
でも、その年の僕にとって一番の驚きは、やはりアンチャンという存在だった。
 
アンチャンはとにかく足が速い。
特に短距離ではいつも独走で、彼の後ろ姿は僕には遠すぎた。
体育祭ではいつも「速い人同士で走ってくれないかな」と思っていたけど、
結局僕は最下位で、大差をつけられるアンチャンの背中を見送るばかりだった。
なんであんなに速く走れるのか、今でもその答えを知りたい気がする。
 
サッカー部でもフォワードのレギュラーで、
先生に「何も考えず、ただ走れ!」と叫ばれている姿が妙に絵になっていた。
僕とはまるで違う世界にいるように見えたけれど、なぜか気が合った。
僕は学級委員長で少し堅苦しい立場にいたけど、
アンチャンの周りではその緊張もどこかゆるんでしまう。
ゲーセンで音ゲーに熱中し、放課後にボウリング、
ボロボロの自転車で遠出をして、校則違反の二人乗りにも挑戦して。
毎日が少しだけ冒険みたいだった。
 
ある日、ゲーセンで遊びすぎて塾に遅れそうになったとき、
アンチャンが自転車を指さして
「後ろに乗れよ。送ってやるから」と言ってくれた。
その時、彼が僕にはちょっと眩しかった。
「アンチャン、カッコいい!」と素直に言えなくて、
後ろに乗りながらタイタニックのポーズを決めて、ふざけた自分を覚えている。
 
そんなアンチャンには一つの伝説がある。
ある日、連絡帳に「今日はハレンチな気分で登校した」と書いていたことが、
オイクボ先生に暴露されたのだ。
クラスは笑いに包まれ、アンチャンはその場にいなかったが、
僕たちみんなには妙に記憶に残る出来事になった。
結局、あのときの「ハレンチな気分」が何だったのかはわからないけれど、
あの時のクラス全員の笑顔や、真顔で困ったようなオイクボ先生の顔を思い出すと、
あの頃の教室の景色が頭の中に鮮やかに浮かんでくる。
 
もう戻れないけれど、確かにそこにあった時間。
アンチャンも、あの日々も、今はどこかで笑っている気がする。

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