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Cafetalk Tutor's Column

Tutor Keisuke.H 's Column

I was a bocchi.45 NOボウズ

Montag, 4. November 2024, 18:36

小学生だった僕に、カオリねえちゃんはよく言った。
「中学校は男子全員ボウズだからね」
何度も繰り返されるうちに、それは恐怖になっていった。
僕の記憶が確かなら、カオリねえちゃんはオカッパだった気がする。
男子はボウズで女子はオカッパ。
田舎の昭和の香りが漂うその風景が、子供心にどうしようもなく嫌だった僕は、
ボウズにならないために転校か退学さえ本気で考えた。
 
けれども、不思議なことに僕が進学する頃にはその校則がなくなった。
転校も退学もしないで済んだのはいいが、髪が短いのは本当に嫌だった。
サッカー部にいたときでさえ、スポーツ刈りには一度もしていない。
父が床屋代を節約するために僕の髪を切ることが多く、
バリカンを持ち出した日には、僕は必死に抵抗して泣き出したものである。
 
そんな僕の中学校には、部活動の参加が義務だった。
だが選択肢は少ない。
サッカー部、野球部、あとは吹奏楽部と科学部があったが、
音楽も科学も、ここでは「入試に落ちる部活」とされていた。
とくに科学部の人間は暗かったし、
公園で砂をかけてきた意地悪な先輩がいたのもあって、一瞬惹かれたけどやめた。
 
結局、野球部はボウズ、サッカー部はセーフ、
という消去法でサッカー部に入ることに決めた。
とはいえ、やる気はゼロだ。
部活を楽しみにしている友達を、なんだか能天気にさえ思いながら眺めていた。
「ボウズが嫌だからサッカー部」という本当の理由を口にしたら、
みんなに怒られるに違いない。
部活説明会も歓迎会も特になかったが、
みんな入部理由なんて適当に済ませていたようだった。
 
ボロボロの倉庫に新品のサッカーシューズを並べて、僕はしみじみとその場に立っていた。
あんなに大事にしていたシューズも、
数日でこの倉庫の匂いに染まっていくんだろうなと、ぼんやり考えていた。

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