小野小町は、美人の誉れが高いが、「古今集」を代表する女流歌人でもある。
次のような歌を残している。
花の色は移りにけりないたづらに
わが身世にふるながめせしまに
花の色があせてしまったことと、わが身の色香が衰えてしまったことを、「降る」と「経る」(雨が降ると、わが身が世に経る。)、「長雨」と「眺め」(長雨で花の色があせたということと、ぼんやりと眺めているうちにわが身の容色が衰えたこと。)などの掛詞を用い、巧みに詠んだ歌である。
ざっと、こんなところであろうか。
桜の花の色は、長雨に打たれているうちにはかなく色あせてしまった。同じように、わが身の色香も、ぼんやりと考え事をしているうちに衰えてしまった。
ほかに、この歌は男女の仲を詠んだものであるという説もある。
名歌はさまざまな解釈を生む⁈