この話はおそらくイシザキが来る前だろう。
僕はショウゴに遊びに誘われ続けた。
一緒に遊ぶのは楽しいが、
奴は冗談なのか本気なのか平気で僕の頭を叩く。
僕にはそれが理解できない。
だから、ショウゴは友達ではなかった。
そして、僕もさすがに我慢できなかった。
ショウゴに決闘を申し込んだ。
別に勝算があったわけではない。
このままやられっぱなしが嫌だったのだ。
「ショウゴ、決闘だ!」
昼休み、みんなが遊んでいる体育館で、
僕は本気でショウゴに襲いかかった。
今まで何回頭を叩かれたことか。
何回泣いたことか。
思い出すとカッと熱くなった。
クラスメイトも参加すると言っていたけど、
いざ直前になるとみんな尻込みをして、
「やっぱりやめるよ」
と言っていた。
ショウゴに味方はいなかった。
もちろん、僕にもいなかった。
みんながワイワイ遊んでいる体育館。
ショウゴは煽りながら走り回る。
僕はすぐに追いついて馬乗りになり首を絞めた。
本気で絞め落とそうかと思った。
「たすけて」
ショウゴが弱い声を上げた。
僕が手を離すとショウゴは泣いた。
遂にショウゴに勝った。
今までの不満は解消されたが、嬉しくはなかった。
特に湧き出す感情は無かった。
それから、僕はショウゴをイジメ返すようになった。
イジメられると性格が歪むのだろうか?
僕もこの学校にすっかり汚染されてしまったようだ。