浜っ子集団の中に投げ込まれた僕。
転校後は優しくされた時期があったが、
徐々にみんな本性を現してくる。
港町の人間は短期で気性が荒く声が大きい。
まさにその通りだった。
親がそうなら子もそうだ。
何が言いたいかというと、
イジメや暴力が日常的にあっても不思議ではなかった。
前の学校のときもヤマダ君はいじめっ子で、
チバ君と僕はよくケンカをした。
でも、それには些細だけど理由があったし、
一方的な暴力というのはなかったと思う。
後の学校はイジメや暴力があった。
「キヨミは暴力振るうから近づかないほうが良い」
「ショウゴが後輩を階段から突き落とした」
そんな嬉しくないアドバイスを聞いてゾッとした。
これからはこんな環境で過ごさないといけないのだ。
ショウゴは悪い奴だという噂になっていたが、
僕にはそう見えなかった。
一緒に家で遊ぼうと誘ってくれてすごく嬉しかった。
でも、気に入らないことがあると直ぐに頭を殴ってくる。
最初は全く理解できなかった。
毎回殴ってくるから彼にとっては普通のことだったのだろう。
僕は殴られて泣いた。
痛かったのもあったけど、それ以上に
「前の学校ならこんなことなかったのに」
「前の学校に戻りたい」
と思えて泣けてきた。
でも、誰にも言えなかった。
言ったところでどうにもならない。
なら、言ったところで無駄なのだ。
学校でも廊下でキヨミにぶつかるとお腹を殴られた。
すぐ謝ったのに。
わざとじゃないのに。
学校でも机に突っ伏して泣いた。
インストールは失敗したようだ。