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Cafetalk Tutor's Column

Rubrica di Naoko.S

常識を疑う力を持て!~大学での学び方~

Mar 13, 2024

 もうすぐ新入生を迎える季節になります。

 私は大学1年生の授業を担当するとき、こんなメッセージを伝えるようにしています。

  常識を疑う力を持ってください

  先生が言っていることや書籍に書いてあることをそのまま信じないでください

  自分で考えたり、調べたりする力を身につけるために大学に入ったのです

 

 「常識を疑う」の例としてこんな話をします。広島の高校3年生が「セミは成虫になったら1週間で死ぬ」という俗説を独自の野外調査から覆したという話です。

20196月の新聞報道によると、当時、広島県笠岡市の高校3年生だった植松さんという方が、捕まえたセミの羽根に油性ペンでマーキングを行い、後日再捕獲するという独自の手法で調査を行ったところ、最長でアブラゼミが32日間、ツクツクボウシが26日間、クマゼミが15日間生存が確認されたということです。セミは数年から十数年を土の中で過ごし、成虫になって地上に出てからは1週間ほどで死ぬと言われているが、実際には10日以上、種によっては1か月ほど生存するということを高校生が突き止めたのです。

植松さんは生物系三学会で最優秀賞を受賞されたそうですが、本当にすごいと思います。私は生物学の専門家ではないので研究としてのすごさを正確に把握できていないのですが、私がすごいと思ったのは、「それって本当かな、調べてみよう」と高校3年生が考えられたことです。

 

 私自身の経験から思うのですが、高校までの教育は受身的で、生徒たちは先生から言われたことを無批判に受け入れ、教科書に書いてあることを覚えることに専念しているように思えます。おかげで私のようにぼーっと過ごしがちな人間でも、短期間に多くの知識を吸収し、大学に進学することができたのですから、教育成果がなかったとは言いません。

ただ、そのような学び方を続けていても新しい発見がありませんし、画一的なことしかできない人間は今後ますます目まぐるしく変わる時代において労働市場価値を失うでしょう。大学では自分で考え、調べ、発見する体験をしてほしいのです。

大学生のことを「生徒」と呼ばずに、「学生」と呼ぶのは、「生徒」は教育を受ける人、「学生」は主体的に自ら学ぶ人という違いがあるからと学校教育法における使い分けをよく説明に使っていますが、定義からしても大学生は単に教育を受ける人ではないわけです。

 

4月から大学に進学される方にはぜひ授業で聞いたことを「ふーん、そうなんだ」と思わずに、「本当かな」と疑って、自ら調べ考えてみてほしいと思います。また、社会人の私たちにとってもこの学ぶ姿勢を持つことは重要だと思います。ソーシャルメディアから日々大量に発信される情報は玉石混交で、無批判に受け入れるのは危険です。「疑う力」「調べる力」「考える力」が今ほど求められている時代はないように思います。

 

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