世界規模のK-Cultureブームも手伝って、今や様々なバックグラウンドを持つ人々が韓国語を学ぶようになりました。一口に韓国語と言っても、使用者の母語の影響を色濃く受けて大変個性豊かです。そして、時にその個性が強みにもなり弱みにもなります。私はこれまで日本語ネイティブを専門に韓国語を教えてきましたが、当然日本語ネイティブならではの個性も存在するのです。中でも有名どころ(?)は「パッチム」です。日本語にはパッチムに該当する音は「っ」と「ん」しかないため、大抵の学習者が習得に苦労します。不名誉ながら、「日本語ネイティブ=パッチムが発音できない」というイメージを持たれている節があるのです^^;
さて、今回はパッチムに弱いという特性故にレッスン中頻発する一つの現象をご紹介しようと思います。名付けて、「モルダ・モルダ現象」(勝手に名付けました!)です。まずは、次の4組の単語のペアをご覧ください。
①길다(長い)/기르다(育てる)さて、今回はパッチムに弱いという特性故にレッスン中頻発する一つの現象をご紹介しようと思います。名付けて、「モルダ・モルダ現象」(勝手に名付けました!)です。まずは、次の4組の単語のペアをご覧ください。
②달다(甘い)/다르다(異なる)
③멀다(遠い)/모르다(知らない)
④불다(吹く)/부르다(呼ぶ)
さあ、それでは①のそれぞれの単語の発音をカタカナ表記してみましょうか。左は[キルダ]で右は[キルダ]……あれっ?気を取り直して②はどうでしょう。左は[タルダ]で右は[タルダ]って……おやっ?③は左も右も[モルダ]。④も左右両方[プルダ]?!全てのペアが左右同じ表記になってしまいました。これは、韓国語的には左右の発音が異なるにも関わらず、日本語的にとらえると同じになってしまうことを示しています。つまり、日本語ネイティブは聞き取り・発音の際に左右の単語を混同しやすいのです。今回の例示は初級レベルの単語に限りましたが、まだまだ混同しやすい組み合わせが無数にあります。個人的な指導経験上ですが、中級レベルの生徒さんでも正確に区別できている方は非常にまれな印象です。
それでは、「モルダ・モルダ現象」を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。母語の特性上パッチムが苦手なのは日本語ネイティブの宿命とも言えますが、まずはその特性を意識することです。「私達はパッチム下手(?)だから、注意が必要なのだ」と。その上で、左右の異なる不規則活用をはっきり区別してマスターしましょう。不規則活用に自信がないと無意識にその単語の使用を避けようとして、会話力の伸びも頭打ちになりがちです。日常生活は、不規則活用で溢れかえっていますからね。今こそ正面突破です!!