ヨーロッパ言語のレッスンを続ける中、世界史の教員ならではの興味から中国語を始めました。高校教科書のおよそ半分は中国史なのですが、同じ漢字なのに九分九厘発音が違うのです。おそらく空海が渡った唐の時代(1500年前)は、近かったのかも知れません。
例えば、「北京(ペイチン)、香港(シャンクワン)、卒業(ピーイエ)。日本人なら同じに聞こえる「チ」でも「zhi,ji,chi,qi」などの発音の区別があり、さらに5つのイントネーションと組み合わせます。ざっくり言うと日本語なら漢字に送り仮名をつければ聞いただけで違いはある程度分かるので発音は単純化してしまい、中国語ではいつも漢字一音の聞こえ方で区別しなくてはならず、発音が細かくなったままなのでしょう。
中国語の発音は世界一難しい。更に厄介なことに中国政府が採用した簡略字は、日本語のそれとかけ離れていて連想できないものさえあります。
苦労して苦手意識を持ちながら学んでいくうちに、今度は韓国語を学ぶことにしました。看板にあるハングル文字を読みたいというのが動機でしたが、レッスン開始前に、携帯のアプリで二週間とりくむと、視力検査で言い当てる程度の速度でなんとか読めるようになりました。実はこの言語は全て漢字がもとであることに気づくと、漢字を頭に浮かべて話すようになりました。漢字の音読みは中国語と日本語のほぼ中間です。
明治に日本の学者が西洋の言葉を大量に取り入れて、漢字2文字の熟語をたくさん作り、それが、韓国や中国に採用されていった言葉がかなりあります。
例をあげると、学校(シュエシャオ<>ハッキョ)、学生(シュエシャン<>ハクセン)、権利、自由、人民、自動車・・・。漢字で覚える韓国語というアプリを使いながら、ボキャブラリーを増やしていきました。
ドルには米$、豪$があります。中国通貨は本当は「圓イェン」ですが、画数多いので同じ音の「元イェン」を使ってます。すなわち旧字体の「圓」は、新字体の「円エン(日)」で、「イェン(中)」「ウォン(韓)」というように実は日中韓は同じ通貨の単位を使っていたことに気づかされました。
韓国語を話そうとする時、私ならではの脳内アクシデントが起こります。多言語を学んできたことで、反射的に語順をわざわざひっくり返してしまうのです。韓国語は助詞をつけて「私は 花が 好きです」で良いのですが、「私 好き 花」としてしまうんです。
簡単に言えば日本語と韓国語はほぼ双子であるので、漢字の音読みを変えるだけで話せる言語だといいと言うことでした。勝手な言い分で激怒されることを承知で言うなら、漢字だけは復活していただくと嬉しいのですが、難しいのでしょうね。
さていずれにせよ中韓日の架け橋は漢字です。今のところ、中国語のドラマの字幕を見ながら、日々音読みの練習をしている次第です。
そして私には、まだ野望があります。それは、abcのラテン系アルファベットの言語ではなく、αβγのギリシア系アルファベット(&キリル文字)のギリシア語とロシア語の学習を始めることです。
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