does Sahohime
dance Spring gracefully
in supple breezes?
the fragrance of butterbur drifts
through the thaws
※ Sahohime/ Princess Saho is the spring goddess in Japan.
(C)2021Rika Inami 稲美 里佳
先週末、秋田国際俳句ネットワーク(旧秋田国際俳句.川柳.短歌ネットワーク)のホームページの短歌ページに< Tanka by Rika Inami 44>が掲載された。実は今も継続しているが、先月来、あまり明るい気分の日々を送っていない。単に漠然と気分的に落ち込んでいるのではない。理由はあるが、公然とは話したくないし書きたくもない。ともかく、とても大きな黒い塊に押しつぶされそうな日々を送ってきている。今月はそんな複雑な心の色合いが短歌に出ているようだ。
冒頭の歌は、うつうつと巣ごもり状態で数日過ごした後、雪解けも進んだ3月16日に詠ったものである。家裏で、温かい西風のなかにほっこり見えた蕗の薹が眩しかった。初稿は「西風に佐保姫訪(と)ふか蕗のたう雪消の間よりかをりたゆたふ」であった。我が家の西風は鳥海おろしである。家の西側遠くに鳥海山が見えるが、その方角からやってくる風になる。かなり離れてはいるが西の方角には日本海があり、春にはその温かさを乗せて風が吹く。そのまま西風にしようかとも思ったが、調べてみると西風は必ずしも春の温風でもないようであったので、風について悩んだ(因みに、佐保姫は東の風を司るという)。仏教の夏のお盆と並ぶ一大行事の彼岸が間近いので「涅槃風」「涅槃西」もいいなと思ったが、それでは、2句目の神道系の日本の春の神である「佐保姫」と合わない。どちらも強い言葉だ。落ち着いたのが清風であった。これを詠った日、私は心もち欝々とした暗い夜が明けて、まだ肌寒いが眩しいばかりに爽やかな風を感じもした。
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