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Cafetalk Tutor's Column

Tutor Fukumaru 's Column

百聞は一見に如かず~生で聴く体験

Weekly Topic: Message to the students

2025-01-11

今週の講師コラムのテーマが「生徒へのメッセージ」なので、少々長くなりますが、音楽学習について普段思っていることを書いてみます。
 
音楽に必要なのは「生演奏を聴くこと」だと思っています。生演奏の体験が大切というのは、演奏する人だけではありません。演奏する人も演奏しない人も、音楽を学習するみんなに必要なことでは? というお話です。
 
 
私は大学では日本音楽史を教えていて、カフェトークでは、音楽の実技ではなくて歴史や特徴を教えるレッスンをしています。実技ではないので、授業ではDVDやYouTubeで音楽をいろいろと聞いてもらっています。
 
その際におすすめしているのが、実際に会場に足を運んで音楽を体験するということ。
今は、インターネットを使って自宅でなんでも聴けますよね。でも、会場では、印象が全然ちがうことがあります。おなかにひびく迫力を感じることもあれば、意外に音がやわらかいと感じることも。ホールの空間に漂う音の響きが心地よかったり刺激になったり…。
 
 
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ピアノでも箏でも、動画と会場は違うな~と思うことがよくありますが、とくに違うと感じているのが人形浄瑠璃(文楽)です。

動画で見ると、人形のうしろにいる人形遣いが気になるのですが、劇場で見ると、そうでもありません。見始めはちょっと気になるかもしれませんが、すぐに慣れて、人形だけに目が行くようになります。不思議ですね。
 
これは、生で見る体験の魔法ではないかと思うのです。

動画では音量を調節してしまいますが、劇場ではド迫力の三味線と語りが鳴りひびき、否応なく劇の世界に引きずり込まれます。現場に身を置くことで、自然に見るべきものに意識を集中し、劇の内容を味わうことができるのです。
 
学生に動画を見てもらうと、「人形遣いが気になってしまう」という声が上がりますが、これも、「生で一度見てみると見方が変わるのでは?」と提案しています。
 
 
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楽器の演奏もきっと同じです。
自宅で練習することはとても大事ですが、プロの演奏を聴くのも大事。もっと言うと、同じ目標を持つ同年代の演奏を聴く体験も大切です。
 
私の娘は音大でピアノを専攻していますが、なんと、入学後に、「みんな上手でびっくりした」と言いました。
 
私のほうがびっくりです。
いやいやいや~、なんで今言うの。
 
たしかに高校の通学だけで疲弊していたので、演奏会にはほとんど連れていっていませんでした。コンクールでは同年代の演奏を聴く機会があったはずですが、よく聴いていなかったのでしょう。
本人が分かっていなかったから、高校生のときにいくら言っても練習量が増えなかったのです。
 
面倒でも大変でも、いろいろな演奏を聴きに連れていくべきだった、というのが私の反省です。
 
幸い、入学後は目覚めて、いろいろな演奏を自主的に聴きに行っているようなので、まあ良かったですが、高校生のときに良い体験ができて自覚を持てれば、もっと上手になっていたのでは…。
 
 
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家でYouTubeを視聴するのは、興味のきっかけになったり、日頃の楽しみになったりしますよね。私も毎日手軽にいろいろな音楽を聴いています。
でも、やはり会場で音楽に浸る楽しみは定期的に体験したいもの。チケットを予約して都合を合わせて出かける手間はありますが、1回の生演奏の体験は、数十回のインターネット体験に勝ることでしょう。
 
これこそ百聞は一見に如かず。
スマホ片手でなんでもできてしまう現代だからこそ、実体験を大切にしたいものです。

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