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Tutor Ichiro 's Column

日本家屋の美を保つ

Dec 21, 2024

今日、普請道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、電気や瓦斯や水道等の取附け方に
  苦心を払い、何とかしてそれらの施設が日本座敷と調和するように工夫を凝らす・・・・・・・
                                  谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

 『陰翳礼讃』は1933年が初版であるが、現在でも同じことが言える。今日、日本家屋の美を保つのは簡単ではない。近代生活に必要な冷暖房や照明や衛生の設備と日本間の調和を取るには労力も金も必要である。
 「その他庭の電線は地下線にし、部屋のスイッチは押入れや地袋の中に隠し、コードは屏風の陰を這わす」と、『陰翳礼讃』に涙ぐましい努力が書いてあって面白い。
 近所のお寺のご住職に伺ったところ、「うちもやりますよ。」ということであった。やはり、コードは衝立の陰に隠すのだそうだ。もっとも、お寺の建て替えの折に、電線は壁の中に入れるなどして改善したそうだ。
 また、近くの『水月苑』という古民家カフェでは、建付けの悪い築135年の建物にエアコンを入れたため、電気代が10万円を超える月があるという。オーナーさんが、利益を圧迫するとぼやいていた。
 今や、日本家屋の美を守るには、大変な努力が必要である。
 日本家屋の伝統は、ハイライズマンションに取って代わられるのであろうか。

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