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Cafetalk Tutor's Column

Keisuke.H 讲师的专栏

I was a bocchi.60 消えた世界

2024年11月19日

母が「教育ママ」という名のラスボスだったせいで、
我が家のゲーム環境はファミコン1台のみ。
「時代に取り残される」という状態異常を喰らい、
ポケモンやたまごっちが流行している中、
僕はそれらに触れることすら叶わなかった。
なんなら、みんなが飽きた頃にようやくプレイし始めるというスロースターターだ。
 
初代ゲームボーイを手に入れるまでは壮絶だった。
「お小遣いは必要になったら渡す」という母のルールのため、僕の所持金は0円。
参考書はすぐ買えるのに、ゲーム機となるとその道のりは険しかった。
やっと手にしたのは、
友達がカラフルなゲームボーイカラーを誇らしげに使う時代に逆行する、
あの伝説のグレーなやつだ。
僕はモノクロの世界に全力で没入した。
 
「ポケモングリーン」「ポケモンピカチュウ」は、ショウゴから借りてやってみた。
攻略サイトなんてない時代、ショウゴは僕の攻略本。
とはいえ、周りから「お前まだそれやってんの?」とからかわれる。
でも、ゲームの世界は現実よりも優しく、僕はいつもそこに逃げ込んでいた。
 
中でも『ドラクエモンスターズ』は僕の人生を変えた一本だ。
通信ケーブルという神アイテムを持つオックンの家にみんなが集結し、
モンスターたちで熱いバトルを繰り広げたあの日々。
みんなの顔が画面越しに真剣になり、
勝敗に一喜一憂するあの時間は、間違いなく僕の青春のハイライトだった。
 
しかし、その青春はあまりに突然、そしてあまりにあっけなく幕を閉じた。
妹が僕のゲームボーイを「ちょっと借りただけ」で、全てが消えたのだ。
全モンスター図鑑の完成直前のセーブデータは跡形もなく消滅。
画面に映ったのは、スライム1匹だけの新規データ。
あの時、僕の心は空っぽになり、同時にゲームへの情熱も消えていった。
 
今思えば、あのモノクロの画面に映った世界は、
僕にとってかけがえのない冒険の舞台だった。
失われたセーブデータも、そこに込めた時間も、どれも忘れられない大切な記憶だ。
 
あの消えた世界は、何かを心から好きでいられる情熱の尊さを、
そっと教えてくれたのかもしれない。

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