幼少期の回想をしていると嫌な記憶ばかり浮かんでくる。
楽しいことや嬉しいこともそれ以上にあるはずなのだが、
それらは思い出そうとしても思い出せない。
霧に包まれているような感覚で、
手で掴もうとするとフワッと逃げていく。
母は教育熱心でアニメを見せてくれなかった。
テレビはニュースやドラマばかりだった。
家にはテレビが1台しかなかったので、
隠れて見ることはできない。
友達の家に行って見るのは格好が悪かったし、
一緒にアニメを見る友達もいなかった。
そこまで興味はなかった。
マンガも買ってくれなかった。
自分で買おうにもお小遣いがなかった。
お年玉は没収され貯金された。
だから、私は当時の流行がわからない。
ドラゴンボールも見たことがなかった。
『かめはめ波』や『サイヤ人』がどんなものなのかわからなかった。
友達の会話についていけない。
母に言ってもテレビはニュースのままだった。
友達とはファミコンで遊んだ。
スーパーファミコンは買ってもらえなかった。
『スーパーマリオブラザーズ3』
『Wit’s』
『エイリアンシンドローム』
『ドラゴンクエスト』
アクションが苦手でボスを倒すことができなかった。
RPGはレベル上げを知らなくて、
ずっと城の近くをうろうろ歩き回っていた。
主人公は世界を救う勇者にはなれなかった。