日本語では「青信号」と言うが、実際には緑色じゃないか。なぜ「緑信号」と言わずに「青信号」と言うのだろうか。そう疑問に思ったことはありますか。
このような疑問は日本語が母語ではない外国人の方か、外国語が堪能な日本語母語話者が持つ疑問ではないでしょうか。日本語しか知らない人は、なかなかこのことに気づきにくいと思います。英語では“Green light”と言い、“Blue light”とは言わないことを知れば、翻って日本語ではなぜ「青信号」と言うのだろうと疑問に思い始めます。私は大学でペルシア語を勉強しましたが、ペルシア語でも“Green”を表す語を使います。イラン人の友だちに“Blue light”と言ったら、びっくりされました。
実際に実物の信号機をよく見てみると、確かに緑色ではありませんか。日本人の私にも青色には決して見えません。
最近読んだ本の中に次のような言葉がありました。
「もう一つ言語を持つのはもう一つ魂を持つのに等しい」
初代神聖ローマ帝国カール大帝の言葉
引用:ビオリカ・マリアン(著)今井むつみ(監訳)・桜田直美(訳)(2023)『言葉の力』
人は外国語を学ぶことで自分の言語や文化を客観的に見ることができるようになります。まるでもう一つの人格を持ったかのように、日本語を話している自分、日本語で考えている自分を客観的に観察できるようになるのです。
人の思考は母語や母文化に大きく影響を受けます。しかし、人はそのことに気づきにくいのです。日本語を話している自分が考えていることが日本語に大きく影響していることは日本語の世界の中だけにいると気づかないのです。外国語を学ぶことによって、人は自分の思考、自分の言語、自分の文化を客観的に見る洞察力を得ます。
自然と視野を広げることができ、自分と世界についてよりよく知ることができるなら、外国語を学ぶことは非常にコスパがいい投資だと言えます。ぜひ外国語を学んでもっと広くて豊かな世界を知りましょう。