みなさん。
日本語には長い音、つまり長音があります。
カタカナ語の場合は「ー」で表します。
例) コーヒー タクシー
また「う」なども長音として使われます。
例) 昨日/きのう 高校/こうこう
「きのう」は「きのー」、「こうこう」は「こーこー」のように「う」は長く伸ばして発音します。
ただし、書くときは「きのう」「こうこう」と書きます。
長音をきちんと発音しない、あるいは必要のない長音を入れたりすると、全く違う言葉になってしまう場合もあります。
例) ビル/ビール 好き/スキー
そこで今回のコラムは、日本語を勉強する人がよく間違える長音の例を紹介します。
会話練習するときの参考にしてください。
ケース1 私はきょうねん(?)日本へ来ました。
「去年」を「きょうねん」と読んでしまう人は多いです。正しくは「きょねん」です。長音の「う」はありません。「きょうねん」と読むと「享年」(人が亡くなった年齢)の意味になってしまいます。
ケース2 しゅうじん(?)は今出かけています。
「主人」を「しゅうじん」と読んでしまう人も多いです。正しくは「しゅじん」です。
「しゅうじん」と読むと「囚人」(prisoner)になってしまいます...
ケース3 部屋ににんぎょ(?)が飾ってあります。
「人形」は「にんぎょう」です。これは長音「う」を忘れてしまった例です。「にんぎょ」は「人魚」(伝説の生き物)です。「人魚の人形」と言いたければ正しいですよ(笑)
ケース4 ちょっとスパ(?)へ行ってきます。
日本語として間違っていませんが、本当に「スパ」ですか。「スパ」は一般的に温泉やプール、マッサージなど、健康を目的にした総合施設のことです。普通は「スーパーマーケット」の短い形「スーパー」だと思います。長音「ー」を忘れないでください。
ケース5 おにさん(?)はお元気ですか。
「お兄さん」は「おにいさん」です。「い」が必要です。「おにーさん」のように長く伸ばします。「おにさん」は「鬼さん」になってしまいます。なお「鬼(おに)」は英語では「demon」が近い意味だそうです。
お兄さんは鬼? ちょっと怖いです(笑) 他にも「おじさん(uncle)」と「おじいさん(grandfather)」、「おばさん(aunt)」と「おばあさん(grandmother)」の言い間違いは多いです。
ところで長音をうまく発音するにはコツがあります。それは「拍(はく)を感じる」ということです。日本語は、一つの文字に一つ分の長さ、つまり「1拍」があります。
例)ねこ(2拍) しごと(3拍)
くだもの(4拍)
小さい「っ」や「ん」も「1拍」です。
例)クラシック ク/ラ/シ/ッ/ク(5拍)
しんせつ し/ん/せ/つ(4拍)
また、「きゃ、きゅ、きょ、しゃ、しゅ、しょ」などは「2文字」ですが、1文字の長さ、つまり「1拍」です。
例)しゅくだい しゅ/く/だ/い(4拍)
おちゃ お/ちゃ(2拍)
そして長音ももちろん1拍の長さがあります。
例)パスポート パ/ス/ポ/ー/ト(5拍)
がっこう が/っ/こ/う(4拍)
とうきょう と/う/きょ/う(4拍)
おねえさん お/ね/え/さ/ん(5拍)
「がっこう」は「がっこー」、「とうきょう」は「とーきょー」、「おねえさん」は「おねーさん」のように長く伸ばして発音します。ただし、平仮名で書くときは「がっこう、とうきょう、おねえさん」です。
長音は確かに「長い音」のことですが、それよりも、他の文字と同じ長さだということを意識してください。「拍を感じる」ことで、より正確できれいな発音ができるでしょう。
いかがでしたか。
今回も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
次回のコラムをお楽しみに!