NHK大河ドラマ「光る君へ」を毎週見ています。
今回は第16回でした。
主人公のまひろ(のちの紫式部)のひそかな恋の相手は藤原道長(ふじわらのみちなが)です。
道長の家は天皇家を親戚関係を結ぶことによって政治の中心に進出していった家。今回は、天皇を補佐する関白(かんぱく)になった道長の一番上の兄の道隆(みちたか)が自分勝手に政治をおこなう場面が描かれました。
道隆が庶民をかえりみず、自分の家のための政治をおこなう中、京の都には疫病が蔓延します。
道隆が庶民をかえりみず、自分の家のための政治をおこなう中、京の都には疫病が蔓延します。
さて、気になる音楽の場面は2カ所ありました。
一つ目は、帝と中宮(現代であれば天皇と皇后にあたります)の合奏。中宮が箏(こと)、帝が竜笛(りゅうてき)でした。
平安時代に使われていた雅楽の箏は、現在、よく使われている近世の箏とは少し違います。目立つのは、弦(げん)が白ではなく黄色であること、箏柱(ことじ)が白ではなく茶色いことでしょうか。
どちらの箏も絹糸なのですが、昔の絹糸は黄色かったそうで、現代でも雅楽の箏の弦はウコンによって黄色く着色されています。
箏柱とは、胴の上で弦を支えている三角のブリッジです。近世の箏には象牙が使われていますが、雅楽の箏には楓(かえで)の枝を使用しています。木材なので濃い茶色なのですね。
もう一つの場面は、権力をほしいままにする関白、道隆(みちたか)の長男と次男が歌を歌いながら舞い、帝と中宮に伴奏をさせる、という場面でした。
兄弟はかなり強引に舞い始め、勝手に歌い出したので、帝と中宮も演奏を始めるしかない、という状況でした。その直後に帝の母親が登場し、その場をたしなめます。
身分に厳しい宮廷内ですから、プライベートな奏楽の場とはいえ、帝への配慮が必要だったのでしょう。
雅楽には、帝が合奏に加わる際に、帝の旋律が際立つように特別に用意された残楽(のこりがく)という演出も伝承されています。
それを思うと、日頃から、帝の演奏には、周囲が気をつかっていたのではないかと思うのです。
まあ、今回は、それだけ関白家の身勝手さが目立ったということですね。
後半は、疫病をめぐってまひろと道長が再会するというドキドキする場面もありましたが、これ以上の進展はなさそう。疫病がどう収まるのか、まひろはどうなっていくのか、来週が待ち遠しいです。