一昨年、英語レッスンの冒頭で、 ”How are you?"と一人の生徒さんに尋ねたところ、
こんな返事が返ってきました。
「そもそも自分がどんな感情かということがわからないと 最近、気がついたんです。」
その生徒さんは、英語でいくつか感情に関する英単語を知っているものの、
自分の今感じている感情が、それらのどの感情の言葉と一致するのかが、わからないということでした。
この出来事がきっかけで、感情を言語化することは難しいのか。
日頃、私たちはどのくらい感情を言葉にしているのか。と言った疑問が私の中で湧いてきました。
そこで、昨年、感情について言語化する練習を自分なりに実践し、先に出てきた疑問の答えを探すことにしました。
その日のバレットジャーナルに書き込む作業を2023年1月1日から始めました。
その日のバレットジャーナルに書き込みます。
膨大な言葉の中から1つだけ感情を選ぶのはかなり大変だと思ったので、
Plutchik's Color wheel of emotions(プラチクの感情の輪)というものを利用しました。
感情の輪では、似ている意味を持つ言葉が同じ色に分類されています。
内側ほどその感情が強く、外側ほどその感情が弱くなります。
それは、「どんな状況ならこんな気持ちになる」という理解が自分の中で深まったことです。
joy(喜び)という言葉を選ぶ傾向がありました。
また、朝起きるのが遅くなって、朝活する時間があまり取れない時は、
annoyance(苛立ち)を選ぶ傾向がありました。
この出来事が起こるとこういう感情になりやすいということがわかりました。
例えば、頭痛がある時は、「痛い」という身体的な状態は言えても、
この感情は、言葉にすると何なのかとひどく悩みました。
「痛い」からannoyance(苛立ち)なのか。pensiveness (不安)なのか。
言葉選びが難しくとも何が何でもその日に言葉を一つ決めてしまうというルールを決めました。
いったいどんな感情だったのかわかるきっかけすらつかめないように感じたからです。
前に選んだ感情を軸に今回もこの感情かなと選ぶことができます。
最初に選んだ感情を「軸」とすることで、似たような事柄が起こった時に、その軸を基に考えることができます。
自分の気持ちを言語化することがそんなに苦にならなくなっていることに気がつきました。
一日に一つ感情の言葉を選ぶという習慣は、自分の感情の言語化に慣れるとも言えます。
▶感情と言語学習の関り
これらがどのように言語学習と関わっているのでしょうか。
ということも広い意味では言語学習だと思っています。
英語レッスンの中で文法や語彙を学んでも、上手く話せない・書けない時、それは英語という言語だけの問題ではなく、
もしかすると自分の気持ちを素直に言語化できないという冒頭の生徒さんのような課題があるかもしれません。
これは、私が日本語・英語どちらを教える時も大切にしていることです。
1日1つ感情の言葉を選ぶ練習は、私がより自分らしい言葉選びを知る実体験となりました。
この経験を通じて、生徒さんの言葉選びもレッスンで応援して行きたいと思います。